LESSON 15分

ストーリー

田中VPoE
パイロットチームでの改善活動は軌道に乗った。次の課題は「スケーリング」だ。3チームの成功を20チーム、さらには組織全体に広げなければならない
あなた
パイロットでうまくいったことをそのまま横展開すればいいんじゃないですか?
田中VPoE
そう単純ではない。3チームで機能した仕組みが20チームでも機能するとは限らない。チームの文化、スキルレベル、業務特性が異なるからだ。「コピー&ペースト」ではなく「原則の展開」が必要になる
あなた
各チームの状況に合わせてカスタマイズするということですね
田中VPoE
そうだ。ただし、カスタマイズしすぎると統一感がなくなり管理が困難になる。「共通の原則」と「チーム固有の実装」を分離するのがスケーリングのコツだ

スケーリングの3つの戦略

戦略説明適した場面
波及型パイロットの成功を段階的に広げる初めて改善文化を導入する組織
ネットワーク型各チームの改善チャンピオンを通じて広げるある程度自律性のある組織
プラットフォーム型改善を支えるツールとプロセスを全社に提供する規模の大きい組織

波及型スケーリング

波及型のタイムライン:

Phase 1: パイロット(3チーム、3ヶ月)
  └ 成功パターンと失敗パターンを記録

Phase 2: 第一波(+7チーム = 10チーム、3ヶ月)
  └ パイロットチームがメンターとして支援

Phase 3: 第二波(+10チーム = 20チーム、3ヶ月)
  └ 第一波チームが次のメンターに

Phase 4: 全社定着(20チーム + 新規チーム、継続)
  └ オンボーディングに組み込み自動化

改善チャンピオンネットワーク

チャンピオンの役割

役割内容工数目安
チーム内の改善推進改善提案の促進、レトロスペクティブのファシリテーション週2時間
チーム間の知見共有月次のチャンピオンミーティングで他チームの事例を共有月2時間
新チームのオンボーディング改善文化の導入を支援する新チーム発足時
メトリクスの収集チームの改善メトリクスを集計・報告する月1時間

チャンピオンネットワークの設計

項目設計内容
選出方法各チームから立候補 or チーム推薦(強制しない)
人数各チーム1名(20チーム = 20名)
ミーティング月1回、60分(全チャンピオン参加)
コミュニケーションSlack #improvement-champions チャンネル
インセンティブ改善チャンピオンの活動を評価に反映

横展開の仕組み

改善事例の横展開プロセス

ステップ内容担当
記録改善のBefore/After、手順、効果を文書化実施チーム
標準化チーム固有の部分を一般化し、再利用可能にする改善チャンピオン
カタログ化改善事例データベースに登録改善推進委員
紹介月次の改善共有会で他チームに紹介実施チーム
適用支援他チームが導入する際のサポート改善チャンピオン

横展開の成功パターン

パターン内容効果
改善見学ツアー他チームの改善プラクティスを見学する百聞は一見にしかず。実際の運用を見る
改善ペアリング先行チームと後発チームをペアにする知識移転が実践的に行われる
改善テンプレート成功した改善の手順書を共有導入コストを下げる
改善デモデイ月次で改善の成果をデモする「あのチームもやっている」という社会的証明

共通原則とチーム固有実装の分離

分類共通(全社統一)チーム固有(カスタマイズ可)
改善提案提案テンプレート、審査基準テーマの選び方、提案の頻度
イノベーションタイム週10%の確保(必須)時間の使い方、チーム or 個人
レトロスペクティブ月1回以上の実施(必須)フォーマット(KPT、4Ls等)
ポストモーテムテンプレート、ブレイムレス原則ミーティングの形式、参加者
メトリクス月次の改善提案数・実行率の報告チーム独自の追加指標

まとめ

ポイント内容
3つの戦略波及型、ネットワーク型、プラットフォーム型
チャンピオンネットワーク各チームの推進者がネットワークで連携
横展開の仕組み記録 → 標準化 → カタログ化 → 紹介 → 適用支援
原則と実装の分離共通原則は統一し、チーム固有の実装はカスタマイズ可

チェックリスト

  • スケーリングの3つの戦略を理解した
  • 改善チャンピオンネットワークの設計を把握した
  • 横展開のプロセスと成功パターンを理解した
  • 共通原則とチーム固有実装の分離を把握した

次のステップへ

次は演習です。改善活動の持続可能性、メトリクス追跡、スケーリングを統合した「持続可能な改善体制設計書」を作成しましょう。


推定読了時間: 15分