クイズの説明
Step 3「標準策定プロセスを確立しよう」の理解度を確認します。RFCプロセス、ADR、ガバナンス体制、例外処理について問います。
合格ライン: 80%(5問中4問正解)
問題
Q1. RFCプロセス
RFCプロセスにおいて、「代替案(Alternatives Considered)」の記載を必須とする最大の理由はどれですか?
- A. ドキュメントの分量を増やし、十分な検討がなされたことを示すため
- B. 提案者が他の選択肢を十分に検討し、最善の判断であることを証明するため
- C. レビュアーの時間を節約し、他の選択肢を調べる手間を省くため
- D. 将来同じ提案が出たときに、過去の検討結果を参照できるようにするため
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正解: B
代替案の記載は、提案者が十分な検討を行った上での判断であることを証明するために必須です。「この技術にしよう」と提案する際、他にどんな選択肢があり、それぞれにどんなメリット・デメリットがあるかを検討していなければ、最善の判断とは言えません。代替案の比較検討により、レビュアーは提案の妥当性をより正確に評価でき、議論の質も向上します。Dも副次的な効果としてありますが、最も重要な理由はBです。
Q2. ADRの運用
ADRの「不変性(Immutability)」の原則について、正しい説明はどれですか?
- A. ADRは一度作成したら二度と変更してはならず、誤りがあっても修正しない
- B. ADRの内容は変更せず、決定が変わった場合は新しいADRで「Superseded」として上書きする
- C. ADRはGitで管理するため、コミット履歴で変更を追跡できれば修正してよい
- D. ADRのステータスだけは変更可能だが、本文は変更してはならない
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正解: B
ADRの不変性とは、一度AcceptedとなったADRの内容をそのまま保持し、決定が変わった場合は元のADRのステータスを「Superseded by ADR-XXXX」に変更し、新しいADRを作成する方式です。これにより「当時のコンテキストでなぜこう判断したか」が歴史として残ります。A(修正不可)は過度に厳格であり、ステータスの更新は必要です。C(修正可)ではADRの記録としての信頼性が損なわれます。D(ステータスのみ変更可)はBに近いですが、正確にはBの説明が最も適切です。
Q3. 合意形成モデル
「Lazy Consensus」の合意形成モデルが適している場面はどれですか?
- A. 全社のセキュリティ基準を大幅に変更する提案
- B. テクノロジーレーダーに新しい言語をAdoptとして追加する提案
- C. 既存のコーディング規約に軽微な修正を加える提案
- D. バックエンドの主要言語を変更する提案
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正解: C
Lazy Consensus(反対がなければ自動承認)は、影響が小さく合意が得やすい提案に適しています。コーディング規約の軽微な修正(C)は影響が限定的で、大きな反対が出る可能性が低いため、Lazy Consensusが適切です。セキュリティ基準の大幅変更(A)はConsensusが必要、言語のAdopt追加(B)や主要言語の変更(D)は組織全体に大きな影響があるため、Consent以上の合意形成が必要です。
Q4. 例外処理
時限的例外の管理において、最も重要なプラクティスはどれですか?
- A. 例外の期限を可能な限り長く設定し、チームに余裕を持たせる
- B. 例外は一度承認したら期限まで干渉せず、チームの自主性に任せる
- C. 四半期ごとに全例外をレビューし、進捗確認とリスク再評価を行う
- D. 例外の数を制限し、年間3件までとする
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正解: C
時限的例外の管理で最も重要なのは定期的なレビューです。四半期ごとに全例外をレビューし、移行計画の進捗確認、リスクの再評価、期限の妥当性チェックを行います。期限を長くする(A)と「いつか対応する」が永遠に来ないリスクがあります。干渉しない(B)と闇で例外が放置されます。件数制限(D)は形式的すぎて実態に合わないことがあります。定期レビューにより、例外が適切に管理され、計画通りに解消されていくことを担保します。
Q5. ガバナンス体制
技術標準委員会の運用におけるアンチパターンとして、最も深刻なものはどれですか?
- A. 委員会のメンバーが固定化し、現場の実態と乖離した標準を策定する(象牙の塔)
- B. RFCのレビュー期間が当初の予定より1日延長される
- C. テクノロジーレーダーのレビューが四半期に1回ではなく半期に1回になる
- D. 委員会の議事録がMarkdownではなくNotionで管理されている
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正解: A
「象牙の塔」は最も深刻なアンチパターンです。委員会メンバーが固定化し現場と乖離すると、実態に合わない標準が策定され、エンジニアの反発を招き、標準そのものの信頼性が失われます。対策として委員のローテーション、現場からのフィードバックループ、全エンジニアへのRFC参加権の開放が重要です。レビュー期間の1日延長(B)やレビュー頻度の変更(C)は運用上の軽微な問題です。管理ツール(D)はMayレベルの話であり本質的な問題ではありません。
結果
合格(4問以上正解)
Step 3の内容をよく理解しています。RFC/ADRプロセスの設計、ガバナンス体制の構築、例外処理の管理方法を身につけました。次のStep 4「標準の普及戦略を実行しよう」に進みましょう。
不合格(3問以下正解)
Step 3の内容を復習しましょう。特に以下のポイントを重点的に確認してください:
- RFCテンプレート — 代替案の必須性と記載の目的
- ADRの不変性 — Supersededによる上書きの仕組み
- 合意形成モデル — Lazy Consensus/Consent/Consensus/Decision Makerの使い分け
- 例外管理 — 定期レビューの重要性
推定所要時間: 30分