LESSON 30分

ストーリー

田中VPoE
ゲーミフィケーションの応用として、社内CTF大会を設計する。CTFはセキュリティスキルを実践的に磨くための最も効果的な手法の一つだ
あなた
CTFって、セキュリティの専門家向けのイベントですよね?ハードルが高くないですか
田中VPoE
外部のCTF大会はそうだが、社内CTFは違う。初心者から上級者まで楽しめるように難易度を設計する。重要なのは「全員が参加できる」こと。エンジニアだけでなく、営業やCSも参加する設計にする
あなた
非エンジニアもですか?
田中VPoE
もちろん。フィッシングメールの見分け、パスワードの強度チェック、ソーシャルエンジニアリングの検出…非エンジニア向けの問題も用意する。全員参加こそが文化変革だ

社内CTFの設計

CTFの形式

形式説明適用場面
Jeopardy形式カテゴリ別の問題を解く最も一般的。初回開催に推奨
Attack-Defense形式チーム間で攻防を行う上級者向け。インフラが必要
King of the Hill形式サーバーの制御権を争うチーム対抗戦に適している

社内CTF向けJeopardy形式の設計

カテゴリ構成(社内CTF向け):

■ 全社員向け(Easy)
├── フィッシング検出: 不審メールの特徴を見抜く
├── パスワード安全性: 安全なパスワードの選定
├── 情報分類: 機密レベルの正しい判定
├── ソーシャルエンジニアリング: 攻撃手法の検出
└── 物理セキュリティ: 入館管理、クリアデスク

■ 開発者向け(Medium)
├── Web脆弱性: SQLi、XSS、CSRF の発見と修正
├── 暗号: 暗号化の基礎、ハッシュの識別
├── 認証・認可: セッション管理、JWT の脆弱性
├── OSINT: 公開情報からの情報収集
└── シークレット管理: ハードコードされた秘密情報の発見

■ 上級者向け(Hard)
├── バイナリ解析: リバースエンジニアリング基礎
├── フォレンジック: ログ解析、メモリダンプ解析
├── インフラ: サーバー設定ミスの発見
├── 高度なWeb: SSRF、XXE、デシリアライゼーション
└── 応用暗号: 暗号の誤用による脆弱性

問題設計の原則

難易度バランス

難易度配点問題数対象者参加率目標
Easy100-200点15問全社員80%
Medium300-500点10問開発者50%
Hard700-1000点5問セキュリティチーム+上級者20%

問題設計のポイント

ポイント説明具体例
自社に関連自社の技術スタック・業務に関連した問題「自社アプリのログから不正アクセスを特定」
段階的ヒント詰まった場合のヒント(配点は減少)ヒント1回で-20%、2回で-40%
学習効果問題を解くプロセスで知識が身につく解説付きの採点結果
楽しさユーモアやストーリー性のある出題「架空のハッカーからの挑戦状」

運営の実務

準備スケジュール(初回開催)

時期タスク担当
8週間前CTF実施の決定、予算確保セキュリティチーム + マネジメント
6週間前問題作成開始、プラットフォーム選定セキュリティチーム + チャンピオン
4週間前問題レビュー、テスト環境構築セキュリティチーム
2週間前全社告知、チーム編成、ルール説明チャンピオン
1週間前リハーサル、最終確認運営チーム
当日CTF実施(半日〜1日)全社
翌週結果発表、表彰、振り返りセキュリティチーム

推奨CTFプラットフォーム

プラットフォーム特徴コスト
CTFdOSS、最も一般的、カスタマイズ性高無料(ホスティング費用のみ)
FBCTFFacebook開発、視覚的に優れている無料
Juice ShopOWASP公式、Webセキュリティ特化無料
HackTheBox豊富な問題、企業向けプランあり有料

非エンジニア向けCTF問題例

フィッシング検出チャレンジ

問題: 以下の5通のメールのうち、フィッシングメールを特定し、
その判断根拠を述べよ(各20点)

メール1: 人事部からの年末調整のお知らせ(社内ドメイン)
メール2: 取引先からの請求書(添付ファイルあり、送信元ドメイン1文字違い)
メール3: IT部門からのパスワード変更依頼(外部リンク先)
メール4: 同僚からの会議資料共有(Google Drive正規リンク)
メール5: 宅配業者からの再配達通知(短縮URL)

Flag: 各メールの判定結果とフィッシング指標を提出

CTFの効果測定

測定指標

指標測定タイミング目標値
参加率イベント後全社員の50%以上
Easy問題の正答率イベント後80%以上
参加者満足度イベント後アンケート4.0/5.0以上
フィッシングクリック率CTF前後比較20%以上改善
「またやりたい」回答率イベント後アンケート70%以上

まとめ

ポイント内容
社内CTFの目的セキュリティスキルの実践的向上と文化醸成
形式初回はJeopardy形式が推奨
難易度設計Easy/Medium/Hardで全社員が参加可能に
非エンジニア対応フィッシング検出等の非技術系問題を用意
効果測定参加率、正答率、行動変容を測定

チェックリスト

  • CTFの形式(Jeopardy、Attack-Defense等)を理解した
  • 社内CTFのカテゴリ・難易度設計を理解した
  • 運営の準備スケジュールを把握した
  • 非エンジニア向け問題の設計方法を理解した
  • CTFの効果測定指標を把握した

次のステップへ

次は「フィッシングシミュレーションの実践」を学びます。最も一般的なサイバー攻撃であるフィッシングに対する組織の耐性を測定し、向上させる手法を身につけましょう。


推定読了時間: 30分