EXERCISE 90分

ストーリー

田中VPoE
ロードマップ設計、ビジョン、マイルストーン、クイックウィン — 変革の設計ツールを一通り学んだ。ここからはStep 1のアセスメント結果を踏まえて、NetShop社向けの文化変革ロードマップを策定してもらう
あなた
Step 1で評価した中堅EC企業ですね。ツール先行で文化が追いついていない状況でした
田中VPoE
CTOから「DevOpsツールには投資した。でも本番障害は減らないし、リリーススピードも上がらない。何とかしてくれ」と依頼された想定だ。18ヶ月の文化変革ロードマップを作り、経営層に提案できるレベルのアウトプットを出してくれ

ミッション概要

項目内容
演習タイトル文化変革ロードマップの策定
想定時間90分
成果物DevOps文化変革ロードマップ(ビジョン + OKR + マイルストーン + クイックウィン計画)
対象組織Step 1と同じNetShop社

前提条件

Step 1の演習で使用したNetShop社の情報に加え、以下の追加情報があります。

CTOからの要望

「以下の条件で文化変革計画を作ってほしい:
 1. 予算: 年間3,000万円(専任スタッフ人件費は別途)
 2. 専任スタッフ: DevOps推進チームとして3名まで確保可能
 3. 期限: 18ヶ月後にDORAメトリクスでHigh以上を全チームで達成
 4. 制約: 既存のリリースプロセスを即座に止めることはできない
 5. 3ヶ月以内に目に見える成果を経営会議で報告したい」

組織の補足情報

項目情報
直近のセキュリティインシデント3ヶ月前にログイン情報漏洩事故。セキュリティチームが警戒を強めている
人事制度個人業績評価(MBO)。チーム成果の評価枠組みはない
最近の組織変更半年前にSREチームを新設(元はインフラチームから分離)
社内勉強会不定期で開催されるが参加者は固定メンバー
リモートワーク週3日出社、2日リモート

Mission 1: ビジョンとOKRの設計

要件

  1. NetShop社のDevOps文化変革のビジョンステートメントを作成
  2. 3フェーズのOKR(Foundation / Acceleration / Sustainability)を設計
  3. 各OKRのKRが測定可能であること
解答例

ビジョンステートメント

「お客様の”欲しい”に毎日応え、障害を恐れず学び続ける。開発・運用・品質が一つのチームとして、安心して価値を届ける組織になる」

3フェーズOKR

Phase 1: Foundation(月1-3)

  • O: パイロットチームで「毎日デプロイ」の成功体験を作る
    • KR1: パイロット2チーム(商品チーム、検索チーム)のデプロイ頻度を日次にする
    • KR2: ブレームレスポストモーテムを月8回以上実施(パイロット + 他チーム招待)
    • KR3: DORA全チームのメトリクスダッシュボードを公開する

Phase 2: Acceleration(月4-9)

  • O: 全チームでDevOps文化を実践し、サイロを解消する
    • KR1: 全チームのDORA平均をMedium以上にする
    • KR2: Westrumスコアを3.3→4.5に改善する
    • KR3: 開発チームの共同オンコール参加率を100%にする

Phase 3: Sustainability(月10-18)

  • O: 自律的な改善サイクルで、組織が自ら進化し続ける
    • KR1: 全チームのDORA平均をHighにする
    • KR2: Westrumスコアを5.0以上にする
    • KR3: 全チームが四半期ごとに自発的な改善施策を1つ以上実施・完了する

Mission 2: マイルストーン計画

要件

  1. 18ヶ月のマイルストーンを12個以上設定
  2. 依存関係を明示
  3. Go/No-Go判定基準をPhase移行時に設定
  4. CTOの要望(3ヶ月で成果、セキュリティへの配慮、既存プロセスとの共存)を反映
解答例

マイルストーン一覧

IDフェーズマイルストーン完了時期依存
M1F変革推進チーム(3名)の結成と権限付与月1なし
M2F心理的安全性ワークショップ(全チームリーダー対象)月1-2M1
M3FDORAメトリクスダッシュボード全社公開月2M1
M4Fパイロット2チームで日次デプロイ達成月3M1
M5Fブレームレスポストモーテム(テンプレート + パイロット実施)月2-3M2
M6ACI/CDパイプライン全社標準化(Jenkins→GitHub Actions移行)月4-6M4
M7A共同オンコール(開発+SRE)を全チームで開始月5-7M2, M5
M8ADevOpsチャンピオン8名認定月6-8M2
M9Aセキュリティのシフトレフト(CI/CDにSAST/DAST統合)月5-7M6
M10A文化サーベイ2回目実施、Westrumスコア4.0以上達成月9M3
M11SYou Build It, You Run It(全チーム)月10-14M7
M12S全チームDORA Mediumクリア月12M6, M7
M13Sパフォーマンス評価にDevOps行動を組み込み月12-15M8
M14S全チームDORA Highクリア月18M11, M12

Go/No-Go判定

移行Go基準No-Go対応
F→Aパイロット2チームのDORA改善率20%以上、ブレームレスPM月4回以上パイロット延長、追加支援
A→S全チーム50%がDORA Medium以上、Westrumスコア4.0以上遅延チームへの集中投資、ロードマップ修正

Mission 3: クイックウィン計画

要件

  1. 最初の90日間のクイックウィンを4つ以上選定
  2. 各クイックウィンのBefore/Afterを想定して設計
  3. クイックウィン間の連鎖設計で変革のモメンタムを構築
  4. 3ヶ月後のCTOへの経営会議報告書のアウトライン
解答例

クイックウィン4選

#クイックウィン期間BeforeAfter
1アラートノイズ削減Week 1-21日平均50件のアラート、オンコール疲弊意味あるアラート15件に削減。「夜眠れるようになった」
2ブレームレスポストモーテム第1回Week 3-4障害後の犯人探しミーティングテンプレートに沿った学習フォーカスのミーティング。全社にドキュメント公開
3商品チームのデプロイ時間短縮Week 3-6デプロイに90分。午後が潰れる20分に短縮。「ランチ前にデプロイ完了」
4DORAダッシュボード公開Week 6-8各チームのパフォーマンスが見えない全チームのDORAが一目でわかる。改善の軌跡が可視化

連鎖設計

Week 1-2:  アラートノイズ削減 → 「運用の苦痛が減った」

Week 3-4:  ブレームレスPM → 「失敗を責められない」

Week 3-6:  デプロイ時間短縮 → 「デプロイが怖くない」

Week 6-8:  DORAダッシュボード → 「改善が数字で見える」

Month 3:   経営会議報告 → 「3ヶ月でこれだけ変わった」

経営会議報告書アウトライン

  1. エグゼクティブサマリー: 3ヶ月の成果概要
  2. Before/After: 4つのクイックウィンの定量的成果
  3. DORAメトリクスの変化: ダッシュボードのスクリーンショット
  4. 現場の声: エンジニア3名の「変わったこと」インタビュー
  5. 次の6ヶ月の計画: Phase 2のロードマップ概要
  6. 投資対効果: Phase 1の投資額と回収見込み

達成度チェック

観点達成基準
ビジョン簡潔で、DevOps以外の人にも伝わるビジョンステートメントがある
OKR3フェーズそれぞれに測定可能なKRがある
マイルストーン12個以上あり、依存関係が明示されている
Go/No-Goフェーズ移行時の定量的判定基準がある
クイックウィン4つ以上、Before/Afterが明確で連鎖設計がある
制約対応CTOの5つの要望すべてに対応している
実現可能性3名の推進チーム + 年間3,000万円の範囲内

推定所要時間: 90分