EXERCISE 90分

ストーリー

田中VPoE
ここまでの5つのStepで、経営層への戦略提案に必要なすべてのスキルを学んだ。最後の総合演習だ
あなた
ビジネス思考、ROI/TCO、リスク分析、提案書作成、プレゼンテーション…全部を統合ですね
田中VPoE
そうだ。ただし、今回はTechFlow社ではなく、新しいシナリオを用意した。まっさらな状態から経営会議向けの戦略提案書を完成させてもらう

田中VPoEは真剣な表情で続けました。

田中VPoE
この演習の成果物は、実際の経営会議に耐えうるレベルの提案書だ。エグゼクティブサマリーだけで投資判断ができ、財務分析に根拠があり、リスクに対策が示され、承認事項が明確。読んだCEOが「これで進めよう」と言える品質にしてくれ
あなた
Step 1-5で学んだフレームワークを総動員して、説得力のある提案書を作成します

ミッション概要

項目内容
演習タイトル経営会議向け戦略提案書
想定時間90分
成果物経営会議向け戦略提案書(6セクション構成)

シナリオ

企業概要

会社概要:
  会社名: MediLink株式会社(架空)
  事業: BtoB SaaS(医療機関向け予約管理・電子カルテ連携)
  社員数: 200名
  開発部門: 60名(バックエンド20名、フロントエンド15名、モバイル10名、QA8名、インフラ7名)
  売上: 年間20億円(前年比+15%)
  営業利益率: 10%
  顧客数: 800病院・クリニック
  ARPU: 250万円/年
  チャーンレート: 月次0.8%(年換算9.2%)
  NRR: 105%
  設立: 2016年

経営課題(CEOからの依頼)

CEO: 「来年度の中期経営計画策定にあたり、技術戦略を提案してほしい。
       以下の経営課題を踏まえた投資計画を作成してくれ。」

課題1: 「医療DXの規制強化(電子処方箋義務化、マイナ保険証対応)に
         対応するための開発スピードが足りない」

課題2: 「大手病院チェーンからの大型案件(年間2億円)の受注に向けて、
         SOC2 Type II認証の取得が必要」

課題3: 「AI(自然言語処理)を活用した新機能の開発要望が増えているが、
         AI人材がゼロ」

課題4: 「エンジニア採用が困難。技術的負債による開発速度の低下が
         エンジニアの不満につながっている」

課題5: 「3年以内のIPOを目指しており、技術基盤の信頼性と
         スケーラビリティが重要」

現在の技術的状況

項目状況
アーキテクチャモノリシック(Python/Django)
インフラAWS(EC2ベース)、コンテナ未使用
CI/CDGitHub Actions(一部手動デプロイ残)
テストユニットテストカバレッジ45%、E2Eテストなし
セキュリティ年1回のペネトレーションテスト、WAFあり
監視CloudWatch + PagerDuty
可用性99.8%(目標99.95%に未達)
リリース頻度月2回

提案書の作成要件

セクション1: エグゼクティブサマリー(1-2ページ)

  1. 背景と課題
  2. 提案内容
  3. 投資額と期待効果
  4. タイムラインとマイルストーン
  5. 主要リスクと対策
  6. 承認依頼事項

セクション2: 背景と課題分析

  1. PEST分析の要約(医療業界の外部環境)
  2. SWOT分析(クロスSWOTの結論)
  3. 5つの経営課題と技術施策の対応関係

セクション3: 提案内容

  1. 技術施策の一覧と優先順位
  2. DXロードマップ(3フェーズ)
  3. 実施体制
  4. ゲートレビュー計画

セクション4: 財務分析

  1. 3年間のTCO(投資案 vs 現状維持)
  2. ROI/NPV/IRR/回収期間
  3. シナリオ分析(楽観/基本/悲観)
  4. 効果の内訳(4分類)

セクション5: リスク分析

  1. 上位5リスクの特定と定量化
  2. 緩和策と対策後EMV
  3. コンティンジェンシープラン(上位3件)
  4. リスク準備金の推奨

セクション6: 承認依頼事項

  1. Phase 1の予算と体制の承認
  2. Phase 2以降のゲートレビュー計画
  3. 承認後の次のアクション

解答例(エグゼクティブサマリーのみ)

背景: 医療DX規制の強化(電子処方箋義務化、マイナ保険証対応)と大手病院チェーンからの大型案件要件(SOC2 Type II)により、技術基盤の強化が急務です。同時にIPO準備として、システムの信頼性とスケーラビリティの向上が求められています。

提案: 24ヶ月の技術基盤近代化プログラムを3フェーズで実施し、開発速度2倍化、SOC2取得、AI機能基盤の構築を実現します。

投資と効果:

  • 投資額: Phase 1 4,000万円(3年累計: 2.5億円)
  • 期待効果:
    • 大型案件受注による売上+2億円/年
    • 開発生産性30%向上(年間3,600万円相当)
    • 障害コスト60%削減(年間1,200万円)
    • AI新機能によるARPU向上+10%(年間1.6億円)
  • 5年NPV: 1.2億円(IRR 28%、回収期間1.8年)

タイムライン:

  • Phase 1(0-6ヶ月): セキュリティ基盤+テスト自動化 → SOC2準備、リリース頻度3倍
  • Phase 2(7-18ヶ月): コンテナ化+可観測性 → 可用性99.95%、大型案件受注
  • Phase 3(19-24ヶ月): AI基盤構築 → AI機能リリース

主要リスクと対策:

  1. SOC2取得遅延(EMV 800万円)→ 外部コンサル活用、早期着手
  2. AI人材確保困難(EMV 600万円)→ 段階採用+外部パートナー
  3. 規制対応スケジュール圧迫(EMV 500万円)→ 専任チーム配置

承認依頼:

  1. Phase 1予算4,000万円+リスク準備金500万円の承認
  2. セキュリティ専任2名+AI人材1名の採用承認
  3. Phase 2はGate 1レビュー(6ヶ月後)で判断

達成度チェック

観点達成基準
一貫性6セクションすべてが相互に整合し、ストーリーとして繋がっている
具体性定量的な数値目標、予算、期限が含まれている
実現可能性予算・人員・時間の制約内で実現可能な計画になっている
説得力経営層がROIを理解し承認できるレベルの根拠がある
リスク対応主要リスクが特定され、具体的な緩和策が示されている
段階性フェーズ分けされ、各フェーズでの成果が明確である
承認の明確性何を承認してほしいかが具体的で、ゲートレビューが設計されている

推定所要時間: 90分