LESSON 30分

ストーリー

田中VPoE
提案書は完成した。だが提案書だけでは承認は取れない。経営会議でのプレゼンテーションが最後の関門だ
あなた
提案書の内容をスライドに落として説明すればいいのでは?
田中VPoE
提案書は「読む」ためのもの、プレゼンは「聴く」ためのものだ。同じ内容でもアプローチが全く異なる。経営層の集中力は限られている。20分で判断材料を提示し、10分で質疑に答える。この30分にすべてをかける
あなた
プレゼンの設計が承認の成否を左右するんですね
田中VPoE
その通りだ。内容が100点でもプレゼンが50点なら通らない。逆に、内容が80点でもプレゼンが100点なら通ることがある

経営層向けプレゼンの特性

技術プレゼンとの違い

観点技術プレゼン経営プレゼン
目的理解・共有意思決定の獲得
聴衆技術者非技術者(CEO/CFO/COO)
関心事How(どう実現するか)Why(なぜ必要か)+ So What(で、いくらか)
成功基準「なるほど」と言われる「Go」と言われる
時間30-60分15-20分
詳細度深い浅く広く、必要に応じて深く

20分プレゼンの構成

時間配分

20分プレゼンの構成:

0:00-2:00  オープニング(2分)
           「本日は○○の投資承認をお願いします」
           結論と承認依頼を最初に宣言

2:00-5:00  課題の共有(3分)
           なぜ今この投資が必要なのか
           外部環境と内部課題のキーポイント

5:00-9:00  提案内容(4分)
           何をするか、いつまでに、どんな効果が出るか
           DXロードマップの概要

9:00-14:00 財務分析(5分)
           TCO、ROI/NPV/IRR、シナリオ分析
           「何もしない」コストとの比較

14:00-17:00 リスクと対策(3分)
            上位3リスクと緩和策
            コンティンジェンシープランの要約

17:00-20:00 まとめと承認依頼(3分)
            提案の要点を再確認
            具体的な承認事項と次のアクション

プレゼンの原則

1. 1スライド1メッセージ

NG: 1枚のスライドに情報を詰め込む
  →「TCOの内訳」+「ROI計算」+「シナリオ分析」が1枚に

OK: メッセージごとにスライドを分ける
  → スライド1: 「3年TCOは5億円、現状維持比6.9億円の削減」
  → スライド2: 「NPV 6,400万円、IRR 16%で投資基準を超過」
  → スライド3: 「悲観シナリオでもIRR 8%で最低基準をクリア」

2. タイトルに結論を書く

NG(テーマだけ)OK(結論を含む)
「コスト分析」「3年間で6.9億円のコスト削減を実現」
「リスク一覧」「上位5リスクすべてに対策済み」
「ロードマップ」「3フェーズ18ヶ月で段階的に成果を実現」
「財務指標」「NPV 6,400万円、回収期間2.8年」

3. 経営層の注意を引くテクニック

テクニック
驚きの数字で始める「現在、エンジニアの生産時間の30%が手動デプロイに消費されています」
質問から始める「なぜ当社のリリース速度は競合の1/4なのでしょうか」
顧客の声を引用「大手顧客A社から先月、“競合に乗り換えを検討している”と連絡がありました」
対比で強調「投資コスト3億円。何もしないコスト5億円」

スライドの枚数目安

20分プレゼンの場合

推奨: 12-15枚(1枚あたり80-100秒)

1枚目:  タイトル + 承認依頼の予告
2枚目:  背景(外部環境の変化)
3枚目:  課題(内部の現状と問題)
4枚目:  課題の定量化(ビジネスインパクト)
5枚目:  提案概要(何をするか)
6枚目:  DXロードマップ(3フェーズの全体像)
7枚目:  投資計画(TCOサマリー)
8枚目:  効果(ROI/NPV/IRR)
9枚目:  シナリオ分析(楽観/基本/悲観)
10枚目: 「何もしない」コストとの比較
11枚目: リスクと対策(上位3件)
12枚目: 実施体制
13枚目: 承認依頼事項(具体的なAsk)
14枚目: まとめ(次のアクション)

バックアップスライド(Q&A用に5-10枚):
  - TCO詳細内訳
  - 効果算出の根拠
  - リスクレジスター全件
  - 技術アーキテクチャ概要
  - ベンダー比較

プレゼンのデリバリー

話し方のポイント

ポイント説明
ペース重要な数字はゆっくり、接続部分は速めに
間(ま)重要な主張の前後に2-3秒の間を置く
視線意思決定者(特にCFO)とアイコンタクト
具体性「改善します」ではなく「47%改善します」
自信曖昧な表現(「かもしれない」「おそらく」)を避ける

避けるべき行動

NG行動理由改善策
スライドを読み上げる退屈、プレゼンの意味がないキーメッセージだけを自分の言葉で
技術詳細に入り込む経営層が理解できない/興味がない「詳細はAppendixに」と誘導
時間超過信頼を失う、Q&A時間を圧迫リハーサルで時間厳守を確認
質問を後回しにする経営層の関心を逃す重要な質問はその場で回答

まとめ

ポイント内容
経営プレゼンの目的理解ではなく「意思決定の獲得」
20分の構成オープニング→課題→提案→財務→リスク→承認依頼
スライド設計1スライド1メッセージ、タイトルに結論
デリバリー重要な数字はゆっくり、自分の言葉で、時間厳守

チェックリスト

  • 経営プレゼンと技術プレゼンの違いを理解した
  • 20分プレゼンの構成と時間配分を理解した
  • スライド設計の原則を理解した
  • デリバリーのポイントを理解した

次のステップへ

次は「質疑応答のハンドリング」を学びます。経営層からの質問に的確に答え、信頼を獲得する技術を身につけましょう。


推定読了時間: 30分