EXERCISE 90分

ストーリー

田中VPoE
リスク分析の理論を学んだ。ここからはTechFlow社のクラウド移行プロジェクトを題材に、実践的なリスクアセスメントを行ってもらう
あなた
Step 2で財務分析を行った投資案件ですね
田中VPoE
そうだ。CFOから「財務分析は理解した。だがリスク面はどうなっているのか。リスクレジスターとコンティンジェンシープランを見せてほしい」と言われた想定だ
あなた
CFOが安心して承認できるレベルのリスク分析を作成します

ミッション概要

項目内容
演習タイトルリスクアセスメントと対策立案
想定時間90分
成果物リスクレジスター + 緩和策 + コンティンジェンシープラン + リスク準備金の算出
対象TechFlow社クラウド移行+CI/CD整備プロジェクト(Phase 1: 6ヶ月、Phase 2: 12ヶ月)

追加の前提条件

プロジェクト体制

プロジェクト体制:
  PM: 1名(社内)
  テックリード: 1名(社内、クラウド経験3年)
  インフラエンジニア: 5名(社内、うちクラウド経験者2名)
  アプリケーションエンジニア: 5名(社内)
  外部パートナー: 3名(AWS認定アーキテクト1名、移行支援2名)
  合計: 15名

移行対象

項目内容
対象システムモノリシックRailsアプリケーション(コード量50万行)
データベースOracle DB(データ量2TB、テーブル数500)
外部連携15のサードパーティAPI連携
バッチ処理日次30本、月次10本
月間トラフィック100万PV、ピーク時5,000リクエスト/分

Mission 1: リスクの特定と分類

要件

  1. RBS(リスクブレークダウンストラクチャ)を使い、4カテゴリ(実行/ビジネス/組織/技術)でリスクを洗い出す
  2. 各カテゴリで最低3つのリスクを特定(合計12以上)
  3. 各リスクの根拠を明記する
解答例
IDカテゴリリスク根拠
R-001実行Oracle→RDS/Aurora移行が計画より3ヶ月遅延2TBのデータ、500テーブルの移行は複雑。OracleDB固有機能の書き換えが必要
R-002実行移行コストが予算の130%に達するクラウド最適化が不十分な場合、リフト&シフトでコスト増
R-003実行外部API連携の移行で障害発生15のAPI連携のうち、IP制限があるものの対応が漏れる可能性
R-004ビジネス移行期間中にサービス品質が低下し、大型顧客が解約年間売上の15%を占める大型顧客がセキュリティ監査を要求中
R-005ビジネス競合がクラウドネイティブ新機能をリリース移行に注力する間、競合との機能差が拡大
R-006ビジネスクラウド利用料が想定を大幅に上回るトラフィックパターンの予測が不正確
R-007組織テックリードが離職する市場価値が高く、プロジェクト負荷も大きい
R-008組織オンプレ運用チームの抵抗・モチベーション低下15名のインフラチームのうち、クラウド経験者は2名のみ
R-009組織外部パートナーの品質が期待に達しないAWS認定アーキテクトの実務経験が不明
R-010技術Oracle固有機能(PL/SQL等)の移行に想定外の工数50万行のコードにOracle依存コードがどれだけあるか未調査
R-011技術AWS障害により移行後のサービスが停止単一リージョン構成の場合、リージョン障害に脆弱
R-012技術セキュリティ設定の不備により情報漏洩クラウドのセキュリティ設定ミス(S3パブリックアクセス等)

Mission 2: リスクの定量化

要件

  1. Mission 1で特定した全リスクの発生確率と影響額を算出
  2. EMV(期待損失額)を計算し、リスクスコアで優先順位付け
  3. プロジェクト全体のリスクコストを算出
解答例
IDリスク確率影響額EMV優先度
R-001DB移行3ヶ月遅延40%4,500万円1,800万円最高
R-010Oracle依存コード移行工数超過50%2,000万円1,000万円
R-007テックリード離職20%5,000万円1,000万円
R-004大型顧客の解約15%4,500万円675万円
R-002コスト130%超過35%1,500万円525万円
R-008チームの抵抗40%1,200万円480万円
R-012セキュリティ設定不備20%2,000万円400万円
R-006クラウド利用料超過30%1,000万円300万円
R-003API連携障害25%1,000万円250万円
R-005競合の新機能リリース30%800万円240万円
R-011AWSリージョン障害5%3,000万円150万円
R-009外部パートナー品質不足25%500万円125万円
合計2億7,000万円6,945万円

Mission 3: 緩和策とコンティンジェンシープラン

要件

  1. 上位5リスクに対する緩和策を策定し、対策後のEMVを算出
  2. 上位3リスクに対するコンティンジェンシープランを策定
  3. リスク準備金の推奨額を算出
解答例

緩和策:

ID緩和前EMV緩和策対策コスト緩和後EMV
R-0011,800万円移行リハーサル3回実施、段階移行計画500万円450万円
R-0101,000万円Oracle依存コードの事前調査・棚卸し200万円300万円
R-0071,000万円ナレッジ分散、リテンションボーナス300万円400万円
R-004675万円大型顧客への移行計画事前共有、専用サポート150万円200万円
R-002525万円段階投資+月次コストレビュー100万円200万円
合計5,000万円1,250万円1,550万円

コンティンジェンシープラン(上位3リスク):

R-001 DB移行遅延:

  • トリガー: Phase 1の4ヶ月目でDB移行の進捗50%未満
  • Plan B: Oracle → PostgreSQLの段階移行を中止し、RDS for Oracleでリフト&シフト。アプリケーション層のリファクタリングはPhase 2に延期
  • 最大追加コスト: 800万円(RDS for Oracleライセンス増分)

R-010 Oracle依存コード工数超過:

  • トリガー: 事前調査でOracle依存コードが全体の20%超と判明
  • Plan B: Oracle互換のAurora PostgreSQLを採用し、書き換えを最小化。完全なPostgreSQL移行はPhase 3として追加
  • 最大追加コスト: 500万円

R-007 テックリード離職:

  • トリガー: 退職意思の表明
  • Plan B: 外部パートナーからクラウドアーキテクト1名を追加。2週間の集中引き継ぎ期間を設定
  • 最大追加コスト: 600万円(6ヶ月の外部アーキテクト費用)

リスク準備金の推奨:

緩和後の合計EMV: 約3,500万円 推奨準備金(P80): 2,500万円 → プロジェクト予算にリスク準備金として2,500万円を計上


達成度チェック

観点達成基準
網羅性4カテゴリで12以上のリスクが特定されている
定量化発生確率と影響額に根拠があり、EMVが正確に算出されている
緩和策上位リスクの緩和策にコストと効果が明示されている
コンティンジェンシートリガー・アクション・コストが具体的に定義されている
準備金リスク準備金の算出根拠が示されている
実用性CFOが「このリスク管理なら承認できる」と判断できるレベル

推定所要時間: 90分