LESSON 30分

ストーリー

田中VPoE
マルチクラウド戦略のパターンは決まった。次は「どのワークロードをどのクラウドに配置するか」を設計する。これがStep 2のテーマだ
あなた
全部のワークロードを移すわけではないんですよね
田中VPoE
もちろんだ。まずはワークロードを正しく分類し、特性を分析する。移すべきもの、残すべきもの、新しく別クラウドで構築すべきもの — それぞれ判断基準が違う
あなた
ワークロードの分類基準を明確にする必要があるんですね
田中VPoE
そうだ。闇雲にワークロードを分散させると、運用コストが跳ね上がるだけだ。論理的な分類と配置の設計が必要だ

ワークロード分類の4軸

分類フレームワーク

分類説明
ビジネス重要度Tier 1〜4ビジネスへの影響度
技術特性6タイプワークロードの技術的な分類
データ特性4カテゴリデータの機密性と移動可否
変化の頻度3レベル変更・デプロイの頻度

軸 1: ビジネス重要度

Tier定義SLA目標
Tier 1ミッションクリティカル。停止が直接的な収益損失99.99%決済処理、認証基盤、コアAPI
Tier 2ビジネス重要。停止で業務効率が大幅低下99.95%管理画面、レポート生成、通知
Tier 3業務支援。一時的な停止は許容可能99.9%開発環境、社内ツール、バッチ処理
Tier 4非クリティカル。停止しても影響は限定的99.0%テスト環境、検証用システム

軸 2: 技術特性

タイプ特徴代表的な構成クラウド配置の考慮点
WebアプリHTTPベース、ステートレスコンテナ + LB + CDNポータビリティが高い
APIサービスRESTful/gRPC、マイクロサービスコンテナ + Service MeshKubernetes互換で移行容易
バッチ処理定期実行、大量データ処理コンテナ/FaaS + スケジューラコスト最適化の余地が大きい
ストリーミングリアルタイムデータ処理Kafka/Kinesis + 処理基盤レイテンシ要件に注意
データ分析DWH、BI、ML/AIDWH + ETL + 可視化データ量と処理性能がクラウド選定に直結
データストア永続的なデータ保持RDB/NoSQL + バックアップデータ移動コストとレイテンシが重要

軸 3: データ特性

カテゴリ機密レベル移動可否
パブリックなし自由に移動可能公開Webコンテンツ、マーケティング資料
社内条件付きで移動可能社内ドキュメント、ログデータ
機密暗号化と監査の下で移動顧客データ、取引データ
規制対象極めて高法規制に従い移動制限あり個人情報、金融データ、医療データ

軸 4: 変化の頻度

レベルデプロイ頻度特徴クラウド配置の考慮点
高頻度日次以上アジャイル開発、継続的デリバリーCI/CDパイプラインの移行も必要
中頻度週次〜月次スプリント単位のリリース標準的な移行手順で対応
低頻度四半期以上安定稼働、変更リスク回避移行計画に十分な検証期間を確保

ワークロード特性の分析テンプレート

ワークロードカード

ワークロード名: [サービス名]
─────────────────────────────
ビジネス重要度: Tier [1-4]
技術タイプ:     [Webアプリ/API/バッチ/ストリーミング/分析/データストア]
データ特性:     [パブリック/社内/機密/規制対象]
変化の頻度:     [高/中/低]
─────────────────────────────
現在のクラウド:  [AWS/GCP/Azure/オンプレ]
利用サービス:    [具体的なサービス名]
月間コスト:      [金額]
ロックイン度:    [1-5]
─────────────────────────────
移行適性:        [高/中/低]
移行先候補:      [クラウド名]
移行理由:        [ベストオブブリード/コスト/規制/DR]

まとめ

ポイント内容
4軸の分類ビジネス重要度、技術特性、データ特性、変化の頻度
ビジネス重要度Tier 1〜4でSLA目標と紐付けて分類
技術特性6タイプの分類でクラウド適性を判断
データ特性機密レベルと移動可否が配置制約になる

チェックリスト

  • ワークロード分類の4軸を理解した
  • ビジネス重要度のTier分類ができる
  • 技術タイプ別のクラウド配置の考慮点を理解した
  • データ特性による配置制約を理解した

次のステップへ

次は「クラウド配置の判断基準」を学びます。分類したワークロードを具体的にどのクラウドに配置するかの判断基準を身につけましょう。


推定読了時間: 30分