「これがMonth 9の集大成だ」と佐藤CTOが言います。「あなたがCTOの立場で、技術戦略を経営層に提案する書類を作成してほしい。テクノロジーロードマップ、技術負債管理、組織設計、ガバナンス、ステークホルダーへの説明を全て統合した提案書だ。」
シナリオ
企業: 中堅SaaS企業「CloudTask」(社員200名、エンジニア60名)
売上: 年間30億円、月次15%成長
製品: プロジェクト管理SaaS(B2B)
現状の課題:
1. モノリスで開発速度が低下(リリース月2回→月1回)
2. 技術負債が蓄積(テストカバレッジ25%、レガシーPHP部分あり)
3. エンジニア組織が拡大中(30名→60名に倍増した直後)
4. 競合がAI機能をリリースし始めている
5. 来年のIPO準備でセキュリティ・コンプライアンス強化が必要
経営陣の期待:
- 開発速度の回復
- AI機能の早期リリース
- IPO要件の充足
- エンジニア採用・リテンションの改善
Part 1: テクノロジーロードマップ(20分)
12ヶ月のテクノロジーロードマップを策定せよ。
解答例
| 四半期 | テーマ | 主要施策 |
|---|---|---|
| Q1 | 基盤強化 | CI/CD刷新、テストカバレッジ25%→60%、セキュリティ監査 |
| Q2 | 開発速度回復 | モジュラーモノリス化、チームのサービスオーナーシップ導入 |
| Q3 | AI機能投入 | AI基盤構築(LLM API統合)、RAG機能のMVP |
| Q4 | スケール準備 | マイクロサービス化の開始、IPOセキュリティ要件の充足 |
■ 技術スタック進化
現在: PHP(レガシー) + TypeScript(新機能) + MySQL
Q2: TypeScript統一推進、PostgreSQL移行開始
Q3: Python(AI/ML) 追加
Q4: Kubernetes本番導入
■ テクノロジーレーダー
Adopt: TypeScript, PostgreSQL, Terraform, GitHub Actions
Trial: LangChain, OpenAI API, Kubernetes
Assess: GraphQL, Rust(パフォーマンスクリティカル)
Hold: PHP(新規開発禁止), jQuery
Part 2: 技術負債管理計画(20分)
技術負債を定量化し、経営層に説明可能な管理計画を策定せよ。
解答例
| 負債カテゴリ | 影響度 | 返済コスト | ビジネスインパクト |
|---|---|---|---|
| テスト不足 | 高 | 3人月 | デプロイ失敗率30%の主因 |
| レガシーPHP | 高 | 12人月 | 新機能開発速度50%低下 |
| CI/CDの手動プロセス | 中 | 2人月 | リリース所要時間4時間 |
| ドキュメント不足 | 中 | 1人月 | オンボーディング2ヶ月→3ヶ月 |
| セキュリティ脆弱性 | 高 | 4人月 | IPO監査で指摘リスク |
■ 経営層への説明
「技術負債により、エンジニアの工数の40%が既存コードの保守に費やされています。
これは年間¥4.8億の人件費に相当します。
¥1.5億の投資で技術負債を50%削減すれば、年間¥2.4億の開発工数が新機能開発に回せます。」
■ 返済計画
- 毎スプリントの20%を技術負債返済に充当
- 四半期ごとに技術負債スコアを経営に報告
- 年間目標: 技術負債スコアを半減
Part 3: エンジニアリング組織設計(25分)
60名のエンジニア組織の構造を設計せよ。
解答例
■ チームトポロジー
Stream-Aligned Teams (4チーム, 各6-8名):
- Team Alpha: コア機能(タスク管理、プロジェクト管理)
- Team Beta: コラボレーション(チャット、通知、共有)
- Team Gamma: エンタープライズ(SSO、監査、権限管理)
- Team Delta: Growth(オンボーディング、課金、分析)
Platform Team (8名):
- CI/CD、インフラ、開発者ツール、共通ライブラリ
Enabling Teams (2チーム):
- AI/ML Team (4名): AI機能の基盤開発と各チーム支援
- Security Team (3名): セキュリティ基盤と各チーム支援
Engineering Management (5名):
- VP of Engineering (1名)
- Engineering Managers (4名, 各Stream-Alignedチームに1名)
合計: 約55名(+5名採用中)
| メトリクス | 現在 | 6ヶ月後目標 | 12ヶ月後目標 |
|---|---|---|---|
| リリース頻度 | 月1回 | 週1回 | 日次 |
| デプロイ失敗率 | 30% | 10% | 5% |
| MTTR | 4時間 | 1時間 | 30分 |
| 開発者満足度 | 60% | 75% | 85% |
Part 4: 統合提案書のまとめ(25分)
上記を統合した1ページのExecutive Summaryを作成せよ。
解答例
# CloudTask 技術戦略提案書
## 概要
CloudTaskの持続的成長とIPO成功に向け、
12ヶ月の技術戦略を提案します。
## 3つの柱
1. **開発速度の回復**: リリース頻度を月1回→週1回に
2. **AI機能の早期投入**: Q3にAI機能MVP、Q4に正式リリース
3. **IPO準備**: セキュリティ・コンプライアンスの強化
## 投資
- 年間追加投資: ¥2億(人件費¥1.5億 + インフラ¥0.5億)
- 新規採用: エンジニア5名(AI/ML 2名, Security 1名, Platform 2名)
## 期待効果
- 開発速度: 4倍に向上(月1回→週1回リリース)
- 売上貢献: AI機能で年間¥5億の新規売上
- コスト削減: 技術負債返済で年間¥2.4億の開発工数回収
- IPO: セキュリティ監査の合格
## 承認依頼
Q1施策(¥5,000万)の実行承認をお願いします。
3ヶ月後に進捗と効果を報告します。
まとめ
| ポイント | 内容 |
|---|---|
| ロードマップ | 四半期ごとのテーマと技術スタック進化 |
| 技術負債 | 定量化してビジネスインパクトで説明 |
| 組織設計 | チームトポロジーに基づく設計 |
| 統合提案 | 1ページのExecutive Summaryに凝縮 |
チェックリスト
- テクノロジーロードマップを策定できた
- 技術負債を定量化し経営層に説明できた
- エンジニアリング組織構造を設計できた
- 統合提案書を1ページにまとめられた
次のステップへ
最後は卒業クイズです。
推定読了時間: 90分