文書コミュニケーション(Slack, メール, PR)
ストーリー
「Slackでのやり取りがうまくいかなくて...... 質問したのに反応がなかったり、 長文を送ったら『要約して』と言われたり」
渡辺マネージャーが答えた。
「テキストコミュニケーションは、対面以上に工夫が必要だ。 表情や声のトーンが伝わらないからね。 Slack、メール、PRの書き方にはそれぞれコツがある」
Slack コミュニケーション
メッセージの書き方
質問のテンプレート
【質問】[タイトル(何についての質問か)]
■ 背景
[なぜこの質問をしているか]
■ 調べたこと
[自分で調べた結果]
■ 質問
[具体的な質問]
■ 期限
[いつまでに回答がほしいか]
実例:
【質問】検索APIのページネーション実装方式について
■ 背景
検索APIのページネーションを実装しています。
■ 調べたこと
- カーソルベース: 大量データに強い、しかし「〇ページ目に飛ぶ」が難しい
- オフセットベース: シンプル、しかしデータ量が多いとパフォーマンス劣化
■ 質問
当プロジェクトではどちらの方式を推奨しますか?
ユーザー数は現在1万人、1年後に10万人の想定です。
■ 期限
明日(水曜)の午前中に方針が決まると助かります。
やってはいけないこと
| NG | 理由 | 改善 |
|---|---|---|
| 「ちょっといいですか?」だけ送る | 内容がわからず不安にさせる | 用件を一緒に送る |
| 長文を一気に送る | 読まれない | 構造化し、要点を先に |
| @channel を乱用 | 全員に通知が飛ぶ | 本当に必要な人だけメンション |
| スレッドを使わない | チャンネルが散らかる | 関連する話はスレッド内で |
| 既読無視 | 「見てるの?」と不安にさせる | リアクションか「後で対応します」 |
スレッドの活用ルール
メインチャンネル:
「検索APIのパフォーマンス問題について相談です」
└─ スレッド:
├─ 詳細な状況説明
├─ 田中: 「インデックス設計を見直しましょう」
├─ あなた: 「調べてみます」
└─ あなた: 「解決しました。インデックス追加で200ms→50msに改善」
※ スレッド内で結論が出たら、メインに結論を投稿する
メール コミュニケーション
メールの基本構成
件名: [プロジェクト名] [用件の種類] - 簡潔な内容
本文:
[宛先]さん
[1行で用件を伝える]
[詳細(必要な場合)]
[次のアクション/依頼事項]
[署名]
件名の書き方
| 悪い件名 | 良い件名 |
|---|---|
| お疲れ様です | [ECサイト] 検索機能リリース日程の確認 |
| 質問 | [ECサイト] 【質問】決済API仕様の確認 |
| 確認お願いします | [ECサイト] 【要返信/2/15まで】設計書レビュー |
| (件名なし) | [ECサイト] 【報告】Sprint 5 進捗報告 |
メールの使い分け
| Slack を使う | メールを使う |
|---|---|
| チーム内の日常的なやり取り | 社外・他部門への正式な連絡 |
| 即レスが期待される質問 | 記録として残したい内容 |
| カジュアルな相談 | 承認・決裁が必要な内容 |
| 短いステータス更新 | 長文の報告書・提案書 |
PR(Pull Request)コミュニケーション
PR 説明文のテンプレート
markdown
## 概要
[このPRで何をしたか、1〜2文で]
## 変更理由
[なぜこの変更が必要か]
Closes #123
## 変更内容
- [変更点1]
- [変更点2]
- [変更点3]
## テスト
- [ ] ユニットテスト追加/更新
- [ ] 動作確認済み
- [ ] CIパス
## スクリーンショット(UI変更がある場合)
| Before | After |
|--------|-------|
| [画像] | [画像] |
## レビュー観点
[特にレビューしてほしいポイント]
- `src/search/query.ts` のクエリ最適化部分
- ページネーションのエッジケース処理レビューコメントの書き方
| レベル | プレフィックス | 意味 |
|---|---|---|
| 必須修正 | [Must] | マージ前に修正が必要 |
| 提案 | [Suggestion] | できれば対応してほしい |
| 質問 | [Question] | 理解のための質問 |
| 称賛 | [Nit] or [Nice] | 良い実装への称賛、軽微な指摘 |
レビューコメントの例:
[Must] この部分、N+1クエリが発生しそうです。
ループの外でデータを一括取得した方がよいと思います。
[Suggestion] ここは早期リターンにすると
ネストが浅くなり読みやすくなりそうです。
[Question] この例外処理でcatchしてログだけ出していますが、
呼び出し元にエラーを伝えなくて大丈夫ですか?
[Nice] このユーティリティ関数、すごくきれいに書けていますね。
レビューを依頼する時のコツ
Slackでの依頼:
@tanaka PR #234 のレビューお願いします。
- 変更規模: +200行(主にテスト)
- レビュー時間目安: 20分
- 特に見てほしい点: DBクエリの最適化部分
- 期限: 明日午前中
テキストコミュニケーションの注意点
トーンに気をつける
テキストは対面より冷たく感じられがちです。
冷たく感じられる:
「動きません」
「バグです」
「これは間違いです」
柔らかくする:
「こちらの環境で動作しないようです。確認いただけますか?」
「バグの可能性がありそうです。調べてみましょうか?」
「ここは〇〇の方が良さそうに思うのですが、いかがでしょうか?」
非同期コミュニケーションの心得
| 原則 | 説明 |
|---|---|
| 相手の時間を尊重 | 即レスを期待しない。緊急時は電話 |
| コンテキストを含める | 相手がスレッドを追わなくても理解できるように |
| 結論を先に | 長いやり取りの途中でも、結論が出たら要約する |
| 見やすくフォーマット | 箇条書き、コードブロック、見出しを活用 |
まと め
| ポイント | 内容 |
|---|---|
| Slack | 構造化した質問、スレッド活用、リアクション |
| メール | 件名に用件、結論ファースト、正式な連絡に使用 |
| PR | テンプレート活用、レビュー観点の明示、レベル付きコメント |
| トーン | テキストは冷たく感じられやすい。柔らかい表現を心がける |
| 非同期 | コンテキストを含め、相手の時間を尊重する |
チェックリスト
- Slackでの質問テンプレートを使える
- メールの件名を適切に書ける
- PR説明文のテンプレートを活用できる
- レビューコメントにレベルを付けられる
- テキストのトーンに配慮できる
次のステップへ
次のセクションでは、「会議を効果的に進める」スキルを学びます。ファシリテーション、議事録、会議の効率化テクニックを身につけましょう。
推定読了時間: 30分