演習:報告シミュレーション
ストーリー
「報告のフレームワークは理解できたな。 では実際にシミュレーションしてみよう」
渡辺マネージャーが複数のシナリオを用意してくれた。
「現場で起こりうる状況を再現した。 それぞれの場面で、適切な報告を作成してくれ。 フレームワークを使って、実践力を磨こう」
演習の概要
5つのシナリオに対して、適切な報告を作成してください。
課題1: デイリースタンドアップの報告
シナリオ
あなたは水曜日のデイリースタンドアップに参加しています。状況は以下の通りです。
- 昨日: ユーザープロフィール編集APIの実装を進めた(バリデーション部分完了、DB保存は途中)
- 今日: DB保存の実装を完了させ、テストを書く予定
- 問題: テスト環境のDBが不安定(たまに接続が切れる)
タスク: 1〜2分以内の報告を作成してください。
<details> <summary>解答例(自分で実装してから確認しよう)</summary>「昨日はプロフィール編集APIのバリデーション部分を完了しました。
全体の60%完了です。
今日はDB保存の実装を完了させ、テストを書いてPRを出す予定です。
1点ブロッカーがあります。テスト環境のDBが不安定で、
接続が断続的に切れる状態です。
ローカルでの開発は可能ですが、CIが不安定になる可能性があります。
インフラ担当に確認してもらえると助かります」
ポイント:
- 具体的な進捗率(60%)を含む
- 今日のゴールが明確
- ブロッカーを隠さず報告し、対応を依頼
課題2: 週次進捗報告書の作成
シナリオ
スプリント2週目の金曜日。以下の状況で週次進捗報告書を作成してください。
| タスク | 見積SP | 状況 |
|---|---|---|
| #101 ログイン改修 | 5 | 完了、マージ済 |
| #102 検索API | 8 | 80%完了、来週月曜に完了見込み |
| #103 CSVエクスポート | 3 | 完了、マージ済 |
| #104 プロフィール編集 | 8 | 50%完了。DB周りが予想より複雑 |
| #105 テストカバレッジ向上 | 5 | 未着手(#104が遅れているため) |
| #106 ドキュメント更新 | 1 | 完了 |
- スプリントベロシティ目標: 30SP
- 完了SP: 9SP(#101: 5 + #103: 3 + #106: 1)
- リスク: #104の遅延により#105が未着手
markdown
# 週次進捗報告 - ECサイトリニューアルプロジェクト
日付: 2026/02/13
報告者: [あなたの名前]
対象期間: 02/09〜02/13
## サマリー
全体ステータス: 注意(Yellow)
今週の一言: 3タスク完了。プロフィール編集の複雑さにより
一部タスクに遅延が発生しています。
## 進捗状況
### 完了したタスク
- #101 ログイン改修(5SP)- PR #234 マージ済
- #103 CSVエクスポート(3SP)- PR #236 マージ済
- #106 ドキュメント更新(1SP)- PR #238 マージ済
### 進行中のタスク
| タスク | SP | 進捗 | 予定完了日 | 備考 |
|--------|-----|------|-----------|------|
| #102 検索API | 8 | 80% | 02/16(月) | 順調 |
| #104 プロフィール編集 | 8 | 50% | 02/18(水) | DB設計が予想より複雑。2日遅延 |
### 未着手のタスク
| タスク | SP | 理由 | 見通し |
|--------|-----|------|--------|
| #105 テストカバレッジ向上 | 5 | #104の遅延による | 来週後半に着手予定 |
### 来週の予定
- #102 検索API 完了(月曜)
- #104 プロフィール編集 完了(水曜)
- #105 テストカバレッジ向上 着手(木曜〜)
## リスク・課題
| リスク/課題 | 影響 | 対策 | 期限 |
|------------|------|------|------|
| #104の遅延 | #105が今スプリントで完了しない可能性 | #104を優先完了させ、#105のスコープを絞る | 02/18 |
| テスト環境DB不安定 | CI/テストが不安定になる | インフラチームに調査依頼済み | 02/16 |
## 判断が必要な事項
- #105(テストカバレッジ向上)がスプリント内に完了しない場合、
次スプリントに持ち越してよいか
## メトリクス
- 完了SP: 9 / 30(30%)※ 来週前半に+16SP見込み
- PR作成: 3件
- バグ件数: 0件課題3: 悪いニュースの報告(STAR法)
シナリオ
本番環境のデプロイ後に、ユーザーの注文履歴が表示されなくなるバグが発生しました。原因はあなたが書いたコードのDBクエリの誤りです。影響ユーザーは全体の30%。
タスク: STARフレームワークを使って、渡辺マネージャーへの報告を作成してください。
<details> <summary>解答例(自分で実装してから確認しよう)</summary>渡辺さん、緊急の報告です。
【S: 状況】
本番デプロイ後、注文履歴ページが一部ユーザーに表示されなくなっています。
影響範囲はユーザー全体の約30%です。
原因は、私が実装したDBクエリのJOIN条件の誤りです。
【T: 時間的影響】
現在進行中の問題で、影響ユーザーは注文履歴を確認できない状態です。
カスタマーサポートにも問い合わせが来る可能性があります。
【A: 対応策】
対応案を2つ用意しました。
A案: クエリを修正してhotfixデプロイ(所要時間: 約1時間)
B案: 前のバージョンにロールバック(所要時間: 約15分)
→ ロールバックの場合、今回のデプロイに含まれる他の修正も戻ります
私の推奨はB案です。まずロールバックで影響を止め、
クエリ修正とテスト追加を行ってから再デプロイします。
【R: 依頼】
- ロールバックの実施判断をお願いします
- カスタマーサポートへの状況連絡をお願いできますか
- 再デプロイのタイミングについて相談させてください
再発防止として、クエリ変更時の結合テスト強化を実施します。
</details>
課題4: PREP法での技術提案
シナリオ
現在のプロジェクトでは、フロントエンドのビルド時間が15分かかっており、開発効率を下げています。あなたはViteへの移行を提案したいと考えています。
タスク: PREP法を使って、チームミーティングでの提案を作成してください。
<details> <summary>解答例(自分で実装してから確認しよう)</summary>【P: 結論】
フロントエンドのビルドツールをWebpackからViteに移行することを提案します。
ビルド時間を15分から2分に短縮できる見込みです。
【R: 理由】
現在のビルド時間15分は、開発サイクルを大きく遅くしています。
1日平均5回のビルドで、1人あたり1時間以上をビルド待ちに費やしています。
チーム4人で計算すると、週20時間以上のロスです。
【E: 具体例】
- 社内の別チームがViteに移行し、ビルド時間が12分→1.5分に短縮
- Viteの公式ベンチマークでは、10倍以上の速度改善が報告されている
- 既存のReact + TypeScript構 成はViteが公式サポート
- 移行にかかる工数は約3日(PoCで確認済み)
【P: 再結論】
3日の投資で、週20時間のロスを解消できます。
ROIは1週間で回収可能です。
来スプリントで移行タスクを計画に入れたいのですが、いかがでしょうか。
</details>
課題5: エレベーターピッチ(30秒報告)
シナリオ
エレベーターで偶然CTOと一緒になりました。CTOから「今のプロジェクト、どう?」と聞かれました。プロジェクトは全体的に順調ですが、外部API連携の部分にリスクがあります。
タスク: 30秒以内で伝えられる報告を作成してください。
<details> <summary>解答例(自分で実装してから確認しよう)</summary>「ECサイトリニューアルは全体的に順調で、
スプリント2の中盤で予定通り進んでいます。
主要機能のログイン改修と検索APIが完了間近です。
1点リスクとして、外部決済APIの仕様変更への対応が来週必要で、
スケジュールに1〜2日の影響が出る可能性があります。
渡辺マネージャーと対策を検討中です」
ポイント:
- 30秒(約100文字程度)で伝え きる
- 全体ステータス → 具体的な成果 → リスク → 対応状況 の順
- 詳細は省き、聞かれたら追加で説明する構え
達成度チェック
| 課題 | 内容 | 完了 |
|---|---|---|
| 課題1 | デイリースタンドアップの報告 | [ ] |
| 課題2 | 週次進捗報告書の作成 | [ ] |
| 課題3 | 悪いニュースの報告(STAR法) | [ ] |
| 課題4 | 技術提案(PREP法) | [ ] |
| 課題5 | エレベーターピッチ | [ ] |
まとめ
| ポイント | 内容 |
|---|---|
| スタンドアップ | 1〜2分、具体的、ブロッカーを隠さない |
| 週次報告 | 信号機ステータス、数値、判断事項を含む |
| 悪いニュース | STARフレームワーク、対応案をセットで |
| 技術提案 | PREP法、数値根拠、ROIを示す |
| 30秒報告 | 全体→成果→リスク→対応の構造 |
チェックリスト
- デイリースタンドアップの報告を適切に作成できた
- 週次進捗報告書のテンプレートを使いこなせた
- STARフレームワークで悪いニュースを構成できた
- PREP法で技術提案を構成できた
- 30秒で状況を伝えるスキルを練習した
次のステップへ
演習が完了したら、Step 3のチェックポイントクイズに挑戦しましょう。
推定所要時間: 90分