デイリースタンドアップの極意
ストーリー
「デイリースタンドアップ、毎日やってるけど、 正直あまり意味を感じなくて......」
渡辺マネージャーが眉をひそめた。
「それはスタンドアップのやり方に問題がある。 本来のスタンドアップは、チームの同期を取る最重要の15分だ。 正しいやり方を知れば、チームの生産性が劇的に変わるぞ」
デイリースタンドアップとは
毎日同じ時間に、チーム全員が立って(リモートなら短時間で)行う同期ミーティングです。
基本ルール
| ルール | 内容 |
|---|---|
| 時間 | 最大15分。1人あたり1〜2分 |
| 頻度 | 毎日同じ時間 |
| 形式 | 立って行う(長くなるのを防ぐ) |
| 参加者 | 開発チーム全員 |
| 目的 | チームの同期、障害の早期発見 |
3つの質問
各メンバーが以下の3つに答えます。
1. 昨日やったこと(Done)
→ 何を完了したか
2. 今日やること(Todo)
→ 何に取り組む予定か
3. 困っていること(Blocker)
→ 進捗を妨げている障害はないか
良いスタンドアップの例
簡潔で具体的な報告
良い例(1分以内):
「昨日は決済エラーのバグ修正を完了しました。PR #234 出してます。
今日はCSVエクスポート機能に着手します。
ブロッカーはありません。
ただ、田中さんにPR #234 のレビューをお願いしたいです」
悪い例とその改善
悪い例1: 長すぎる(3分以上)
「昨日はまずログイン機能のバグを調べて、最初はCookieの問題かと
思ったんですが違って、次にRedisを調べたら......(中略)......
で、設定ファイルのTTL値を変更して、テストを3パターン書いて、
CIを通してPRを出しました。レビューで指摘されたのが2点あって
......(中略)......」
改善: 「昨日はログインバグの修正を完了しました。
PR #234 を出してあります」
悪い例2: 曖昧すぎる
「昨日は開発を進めました。今日も引き続きやります」
改善: 「昨日は検索APIのページネーション部分を実装しました。
全体の60%完了です。今日は残り40%を仕上げてPRを出します」
悪い例3: 問題を隠す
「順調です。問題ありません」(実は2日遅れ)
改善: 「実装中の検索機能で、予想より複雑な部分があり、
見積もりより1日遅れています。今日中に完了を目指しますが、
厳しければ相談させてください」
スタンドアップの効果を高めるテクニック
1. ボードを使う
カンバンボード(Jira / GitHub Projects)を見ながら話すと、具体的で効率的です。
ボードを見ながら:
「ボードの左から。
#95 の検索機能が In Progress です。今日PRを出します。
#96 のUI実装は田中さんがReviewに移しました。
#98 の認証は今日着手します。
Done に新しいものはありません。
ブロッカーは......#95 のレビュアーが必要です」
2. 「駐車場」を活用する
スタンドアップ中に詳細な議論が始まりそうになったら、「駐車場(Parking Lot)」に入れて後で議論します。
ファシリテーター: 「その件は駐車場に入れましょう。
スタンドアップ後に関係者で話しましょう」
駐車場リスト:
- DBのインデックス設計について(あなた + 田中さん)
- テスト方針の議論(チーム全体、30分)
3. ウォーキングボード
人ベースではなくタスクベースで進めます。ボードの右側(Done に近い方)から順に確認します。
Review: #96 → 「田中さん、レビュー状況は?」
→ 「今日中にレビュー完了します」
In Progress: #95 → 「これ自分です。今日PR出します」
#98 → 「鈴木さん、進捗は?」
→ 「80%完了。午後に仕上げます」
To Do: #99 → 「これは明日着手予定です」
メリット: タスクの漏れがなく、完了に近いものを優先的に確認できる。
リモートでのスタンドアップ
非同期スタンドアップ
タイムゾーンが異なるチームでは、Slackでの非同期スタンドアップも有効です。
Slackテンプレート(毎朝自動投稿):
:sunrise: デイリースタンドアップ - 2026/02/13
以下のフォーマットで投稿してください(10:00まで):
:white_check_mark: 昨日やったこと:
:dart: 今日やること:
:rotating_light: ブロッカー:
---
@channel
投稿例:
:white_check_mark: 昨日やったこと:
- PR #234(決済バグ修正)マージ完了
- CSVエクスポートのDB周り実装
:dart: 今日やること:
- CSVエクスポートのAPI・テスト完了
- PR作成
:rotating_light: ブロッカー:
- なし
ビデオスタンドアップのコツ
| ポイント | 詳細 |
|---|---|
| カメラON | 表情が見えるとコミュニケーションの質が上がる |
| 画面共有 | カンバンボードを共有して進める |
| ミュート管理 | 話していない人はミュート |
| 時間厳守 | タイマーを表示する |
よくある問題と対策
| 問題 | 原因 | 対策 |
|---|---|---|
| 15分を超える | 技術的議論が始まる | 駐車場ルールを徹底 |
| 報告が曖昧 | 何を話せばいいかわからない | 3つの質問テンプレートを使う |
| 参加意欲が低い | 形式的になっている | ウォーキングボード方式に変更 |
| 上司への報告会になる | 目的を誤解している | 「チームの同期」が目的であることを再確認 |
| 遅刻が多い | 時間帯が悪い | チームで最適な時間を決め直す |
まとめ
| ポイント | 内容 |
|---|---|
| 基本ルール | 15分以内、3つの質問、毎日同じ時間 |
| 良い報告 | 簡潔、具体的、正直(問題を隠さない) |
| 効果を高める | ボード活用、駐車場ルール、ウォーキングボード |
| リモート対応 | 非同期スタンドアップ、ビデオのコツ |
| 避けるべき | 技術的議論、上司への報告会化、形式的な参加 |
チェックリスト
- デイリースタンドアップの3つの質問を使える
- 1〜2分以内で簡潔に報告できる
- 駐車場ルールを理解した
- リモートでの非同期スタンドアップのやり方を知った
次のステップへ
次のセクションでは、より詳細な「進捗報告書」の書き方を学びます。週次やマイルストーンごとの報告を、わかりやすく構造化する方法を身につけましょう。
推定読了時間: 30分