LESSON 15分

生成AIとは何か

ストーリー

チーム定例会議の後、中島先輩があなたのデスクにやってきた。

「今日の会議で聞いた? 来期から全チームでAIアシスタントを導入するって」

「はい。ChatGPTとかClaudeとか、GitHub Copilotのことですよね? 名前は聞いたことありますけど...」

「正直、まだ使いこなせてる人は少ない。でも、AIを味方につけたエンジニアと、そうでないエンジニアで、生産性に大きな差が出る時代になってきた」

中島先輩は画面を見せた。さっきの会議資料を、ものの数分でChatGPTに要約させていた。

「この1ヶ月で、AIアシスタントを"使いこなせる"エンジニアになってもらう。まずは基本から始めよう」


生成AIとは

従来のAIとの違い

AI(人工知能)には様々な種類がありますが、「生成AI(Generative AI)」は、新しいコンテンツを"生成"することに特化したAIです。

分類説明
識別AIデータを分類・判別するスパムフィルター、画像認識
予測AI将来の値を予測する需要予測、株価予測
生成AI新しいコンテンツを生成するChatGPT、Claude、DALL-E、Copilot

生成AIが作れるもの

生成AIは様々な種類のコンテンツを生成できます:

種類ツール例出力
テキストChatGPT, Claude文章、コード、翻訳
画像DALL-E, Midjourney, Stable Diffusionイラスト、写真風画像
コードGitHub Copilot, Cursorプログラムコード
音声ElevenLabs音声合成
動画Sora, Runway動画クリップ

エンジニアにとっての生成AI

開発現場での活用シーン

エンジニアの日常業務で、生成AIは多くの場面で活躍します:

1. コーディング支援
   - コード補完(GitHub Copilot)
   - バグの原因分析(ChatGPT/Claude)
   - テストコードの生成

2. ドキュメント作成
   - API仕様書の下書き
   - README の生成
   - コメント・ドキュメンテーション

3. 学習・リサーチ
   - 新しい技術の学習
   - エラーメッセージの解説
   - ベストプラクティスの調査

4. コミュニケーション
   - PR(Pull Request)の説明文作成
   - 技術的な議論の要約
   - 英語ドキュメントの翻訳

実際の使用例:エラーの解決

従来のデバッグ方法とAI活用の比較を見てみましょう。

従来のアプローチ:

1. エラーメッセージをコピー
2. Google検索
3. Stack Overflowの回答を複数読む
4. 自分のコードに当てはめて試行錯誤
5. 解決(平均30分〜1時間)

AIアシスタント活用:

1. エラーメッセージとコードをAIに貼り付け
2. AIが原因を特定し、修正案を提示
3. 修正案を理解して適用
4. 解決(平均5分〜15分)

AIに質問する例

以下のTypeScriptコードでエラーが発生しています。原因と修正方法を教えてください。

エラー:
TypeError: Cannot read properties of undefined (reading 'map')

コード:
const users = fetchUsers();
const names = users.map(u => u.name);

AIの回答例:

このエラーは fetchUsers() が undefined を返しているために発生しています。

原因として考えられるのは:
1. fetchUsers() が非同期関数で、Promiseを返している
2. APIリクエストが失敗している

修正案:
const users = await fetchUsers();
const names = users?.map(u => u.name) ?? [];

ポイント:
- awaitを追加して非同期処理を待機
- オプショナルチェーニング(?.)でundefinedに対するアクセスを安全に処理
- Nullish合体演算子(??)でフォールバック値を設定

生成AIの歴史(エンジニア視点)

主要なマイルストーン

出来事インパクト
2017Transformerアーキテクチャ発表現在のLLMの基盤技術
2020GPT-3公開大規模言語モデルの可能性を示す
2021GitHub Copilot テクニカルプレビューAIによるコーディング支援の始まり
2022ChatGPT公開生成AIの一般普及の転機
2023GPT-4, Claude 2公開精度と能力の飛躍的向上
2024Claude 3.5, GPT-4o公開マルチモーダル対応、高速化
2025AIエージェント・Copilot進化自律的なタスク実行へ

AIアシスタントの位置づけ

AIは「ツール」であり「代替」ではない

重要なのは、AIアシスタントはあなたの能力を拡張するツールであるということです。

良い使い方:
  人間:「何を作るか」「なぜ作るか」を決める(意思決定)
  AI  :「どう作るか」のパターンを提案する(実行支援)
  人間:提案を評価し、最終判断する(品質保証)

悪い使い方:
  人間:AIに丸投げして、出力をそのまま使う(思考停止)

このミッションの全体像

Stepテーマ時間主なスキル
1生成AIの基本を理解しよう2hAI基礎知識、リスク理解
2プロンプトの技術を磨こう4hプロンプトエンジニアリング
3ChatGPT/Claudeを業務に活かそう4h業務活用スキル
4GitHub Copilotをマスターしよう4hコーディング支援
5AIとペアプログラミングしよう4hAI協働開発
6AI活用スキルを証明しよう2h総合演習 + 卒業クイズ

まとめ

ポイント内容
生成AIとは新しいコンテンツを生成するAI技術
エンジニアへの影響コーディング、ドキュメント、学習の効率が大幅向上
正しい位置づけ能力を拡張するツール。丸投げではなく協働する
このミッションの目標AIを使いこなせる次世代エンジニアになる

チェックリスト

  • 生成AIと従来のAIの違いを理解した
  • エンジニアの業務でのAI活用シーンを把握した
  • AIは「ツール」であり「代替」ではないことを理解した
  • このミッションの全体像を把握した

次のステップへ

生成AIの概要がわかったところで、次はその中核技術である「LLM(大規模言語モデル)」の仕組みを学びます。

AIが「なぜそのような回答をするのか」を理解することで、より効果的にAIを使えるようになります。


推定読了時間: 15分