生成AIとは何か
ストーリー
チーム定例会議の後、中島先輩があなたのデスクにやってきた。
「今日の会議で聞いた? 来期から全チームでAIアシスタントを導入するって」
「はい。ChatGPTとかClaudeとか、GitHub Copilotのことですよね? 名前は聞いたことありますけど...」
「正直、まだ使いこなせてる人は少ない。でも、AIを味方につけたエンジニアと、そうでないエンジニアで、生産性に大きな差が出る時代になってきた」
中島先輩は画面を見せた。さっきの会議資料を、ものの数分でChatGPTに要約させていた。
「この1ヶ月で、AIアシスタントを"使いこなせる"エンジニアになってもらう。まずは基本から始めよう」
生成AIとは
従来のAIとの違い
AI(人工知能)には様々な種類がありますが、「生成AI(Generative AI)」は、新しいコンテンツを"生成"することに特化したAIです。
| 分類 | 説明 | 例 |
|---|---|---|
| 識別AI | データを分類・判別する | スパムフィルター、画像認識 |
| 予測AI | 将来の値を予測する | 需要予測、株価予測 |
| 生成AI | 新しいコンテンツを生成する | ChatGPT、Claude、DALL-E、Copilot |
生成AIが作れるもの
生成AIは様々な種類のコンテンツを生成できます:
| 種類 | ツール例 | 出力 |
|---|---|---|
| テキスト | ChatGPT, Claude | 文章、コード、翻訳 |
| 画像 | DALL-E, Midjourney, Stable Diffusion | イラスト、写真風画像 |
| コード | GitHub Copilot, Cursor | プログラムコード |
| 音声 | ElevenLabs | 音声合成 |
| 動画 | Sora, Runway | 動画クリップ |
エンジニアにとっての生成AI
開発現場での活用シーン
エンジニアの日常業務で、生成AIは多くの場面で活躍します:
1. コーディング支援
- コード補完(GitHub Copilot)
- バグの原因分析(ChatGPT/Claude)
- テストコードの生成
2. ドキュメント作成
- API仕様書の下書き
- README の生成
- コメント・ドキュメンテーション
3. 学習・リサーチ
- 新しい技術の学習
- エラーメッセージの解説
- ベストプラクティスの調査
4. コミュニケーション
- PR(Pull Request)の説明文作成
- 技術的な議論の要約
- 英語ドキュメントの翻訳
実際の使用例:エラーの解決
従来のデバッグ方法とAI活用の比較を見てみましょう。
従来のアプローチ:
1. エラーメッセージをコピー
2. Google検索
3. Stack Overflowの回答を複数読む
4. 自分のコードに当てはめて試行錯誤
5. 解決(平均30分〜1時間)
AIアシスタント活用:
1. エラーメッセージとコードをAIに貼り付け
2. AIが原因を特定し、修正案を提示
3. 修正案を理解して適用
4. 解決(平均5分〜15分)
AIに質問する例
以下のTypeScriptコードで エラーが発生しています。原因と修正方法を教えてください。
エラー:
TypeError: Cannot read properties of undefined (reading 'map')
コード:
const users = fetchUsers();
const names = users.map(u => u.name);
AIの回答例:
このエラーは fetchUsers() が undefined を返しているために発生しています。
原因として考えられるのは:
1. fetchUsers() が非同期関数で、Promiseを返している
2. APIリクエストが失敗している
修正案:
const users = await fetchUsers();
const names = users?.map(u => u.name) ?? [];
ポイント:
- awaitを追加して非同期処理を待機
- オプショナルチェーニング(?.)でundefinedに対するアクセスを安全に処理
- Nullish合体演算子(??)でフォールバック値を設定
生成AIの歴史(エンジニア視点)
主要なマイルストーン
| 年 | 出来事 | インパクト |
|---|---|---|
| 2017 | Transformerアーキテクチャ発表 | 現 在のLLMの基盤技術 |
| 2020 | GPT-3公開 | 大規模言語モデルの可能性を示す |
| 2021 | GitHub Copilot テクニカルプレビュー | AIによるコーディング支援の始まり |
| 2022 | ChatGPT公開 | 生成AIの一般普及の転機 |
| 2023 | GPT-4, Claude 2公開 | 精度と能力の飛躍的向上 |
| 2024 | Claude 3.5, GPT-4o公開 | マルチモーダル対応、高速化 |
| 2025 | AIエージェント・Copilot進化 | 自律的なタスク実行へ |
AIアシスタントの位置づけ
AIは「ツール」であり「代替」ではない
重要なのは、AIアシスタントはあなたの能力を拡張するツールであるということです。
良い使い方:
人間:「何を作るか」「なぜ作るか」を決める(意思決定)
AI :「どう作るか」のパターンを提案する(実行支援)
人間:提案を評価し、最終判断する(品質保証)
悪い使い方:
人間:AIに丸投げして、出力をそのまま使う(思考停止)
このミッションの全体像
| Step | テーマ | 時間 | 主なスキル |
|---|---|---|---|
| 1 | 生成AIの基本を理解しよう | 2h | AI基礎知識、リスク理解 |
| 2 | プロンプトの技術を磨こう | 4h | プロンプトエンジニアリング |
| 3 | ChatGPT/Claudeを業務に活かそう | 4h | 業務活用スキル |
| 4 | GitHub Copilotをマスターしよう | 4h | コーディング支援 |
| 5 | AIとペアプログラミングしよう | 4h | AI協働開発 |
| 6 | AI活用スキルを証明しよう | 2h | 総合演習 + 卒業クイズ |
まとめ
| ポイント | 内容 |
|---|---|
| 生成AIとは | 新しいコンテンツを生成するAI技術 |
| エンジニアへの影響 | コーディング、ドキュメント、学習の効率が大幅向上 |
| 正しい位置づけ | 能力を拡張するツール。丸投げではなく協働する |
| このミッションの目標 | AIを使いこなせる次世代エンジニアになる |
チェックリスト
- 生成AIと従来のAIの違いを理解した
- エンジニアの業務でのAI活用シーンを把握した
- AIは「ツール」であり「代替」ではないことを理解した
- このミッションの全体像を把握した
次のステップへ
生成AIの概要がわかったところで、次はその中核技術である「LLM(大規模言語モデル)」の仕組みを学びます。
AIが「なぜそのような回答をするのか」を理解することで、より効果的にAIを使えるようになります。
推定読了時間: 15分