AWSの全体像とリージョン
ストーリー
「クラウドの基本はわかったな。じゃあ次は AWS の全体像を見ていこう」
山田先輩が AWS のコンソール画面を開きながら言う。
「AWS には 200 以上のサービスがあるが、全部覚える必要はない。 まずはコア サービスを押さえれば、8割の案件には対応できる」
「200 以上もあるんですか......。どこから手をつければいいんでしょう?」
「大丈夫。カテゴリごとに整理すれば見えてくる。 それと、リージョンとAZの概念を理解しておくことが大事だ。 インフラの信頼性に直結するからな」
AWSのサービスカテゴリ
AWS の主要サービスをカテゴリ別に整理します。
コアサービスの全体像
┌──────────────────────────────────────────────────┐
│ AWS Cloud │
│ │
│ ┌──────────┐ ┌──────────┐ ┌──────────┐ │
│ │コンピュート │ │ストレージ │ │データベース│ │
│ │ EC2 │ │ S3 │ │ RDS │ │
│ │ Lambda │ │ EBS │ │ DynamoDB│ │
│ │ ECS/EKS │ │ EFS │ │ Aurora │ │
│ └──────────┘ └──────────┘ └──────────┘ │
│ │
│ ┌──────────┐ ┌──────────┐ ┌──────────┐ │
│ │ネットワーク│ │セキュリティ│ │ 管理 │ │
│ │ VPC │ │ IAM │ │CloudWatch│ │
│ │ ELB │ │ KMS │ │CloudTrail│ │
│ │ Route53 │ │ WAF │ │ Config │ │
│ └──────────┘ └──────────┘ └──────────┘ │
└──────────────────────────────────────────────────┘
主要サービス一覧
| カテゴリ | サービス | 説明 |
|---|---|---|
| コンピュート | EC2 | 仮想サーバー |
| コンピュート | Lambda | サーバーレス関数 |
| コンピュート | ECS/EKS | コンテナオーケストレーション |
| ストレージ | S3 | オブジェクトストレージ |
| ストレージ | EBS | ブロックストレージ(EC2用) |
| データベ ース | RDS | リレーショナルDB(MySQL, PostgreSQL等) |
| データベース | DynamoDB | NoSQLデータベース |
| ネットワーク | VPC | 仮想プライベートネットワーク |
| ネットワーク | ELB | ロードバランサー |
| ネットワーク | Route 53 | DNSサービス |
| セキュリティ | IAM | アクセス管理 |
| 管理 | CloudWatch | 監視・ログ |
| 管理 | CloudFormation | IaC(Infrastructure as Code) |
リージョンとアベイラビリティゾーン
リージョン(Region)
AWS のデータセンターが設置されている地理的な場所です。各リージョンは独立して運用されています。
世界のAWSリージョン(主要なもの)
北米 欧州 アジア太平洋
├─ us-east-1 (バージニア) ├─ eu-west-1 (アイルランド) ├─ ap-northeast-1 (東京)
├─ us-west-2 (オレゴン) ├─ eu-central-1 (フランクフルト)├─ ap-northeast-3 (大阪)
└─ ca-central-1 (カナダ) └─ eu-west-2 (ロンドン) ├─ ap-southeast-1 (シンガポール)
└─ ap-south-1 (ムンバイ)
リージョン選択の基準
| 基準 | 説明 |
|---|---|
| レイテンシ | ユーザーに近いリージョンを選ぶ(日本のユーザー → 東京リージョン) |
| コンプライアンス | データの保管場所に関する法規制(日本の個人情報は国内に保管等) |
| サービス可用性 | 一部サービスは特定リージョンでのみ提供 |
| 料金 | リージョンによって料金が異なる(東京は米国より若干高い) |
アベイラビリティゾーン(AZ)
各リージョン内に複数の独立したデータセンター群があり、これをAZと呼びます。
東京リージョン (ap-northeast-1)
┌──────────────────────────────────────────┐
│ │
│ ┌──────────┐ ┌──────────┐ ┌──────────┐│
│ │ AZ-a │ │ AZ-c │ │ AZ-d ││
│ │ │ │ │ │ ││
│ │ [DC群] │ │ [DC群] │ │ [DC群] ││
│ │ │ │ │ │ ││
│ └─────┬────┘ └─────┬────┘ └─────┬────┘│
│ │ │ │ │
│ └──── 高速専用回線 ────────────┘ │
│ │
└──────────────────────────────────────────┘
各AZは:
- 物理的に離れた場所にある(自然災害対策)
- 独立した電源・冷却・ネットワーク
- AZ間は低レイテンシの専用回線で接続
マルチAZ構成の重要性
本番環境では、複数の AZ にリソースを配置して可用性を高めます。
┌─── AZ-a ────┐ ┌─── AZ-c ────┐
│ │ │ │
│ [EC2] │ │ [EC2] │
│ [RDS Primary]│ │ [RDS Standby]│
│ │ │ │
└──────────────┘ └──────────────┘
↑ ↑
└────── ELB ─────────┘
(ロードバランサー)
1つの AZ で障害が発生しても、別の AZ でサービスを継続できます。
AWS CLI の基本
AWS のリソースはコンソール(GUI)でも操作できますが、CLI を使うと自動化しやすくなります。
インストール確認
bash
# バージョン確認
aws --version
# 認証設定
aws configure
# AWS Access Key ID: [アクセスキーを入力]
# AWS Secret Access Key: [シークレットキーを入力]
# Default region name: ap-northeast-1
# Default output format: json基本的な使い方
bash
# 利用可能なリージョン一覧
aws ec2 describe-regions --output table
# 現在のアカウント情報
aws sts get-caller-identity
# S3バケット一覧
aws s3 ls共有責任モデル
AWS とユーザーでセキュリティの責任範囲が分かれています。
┌──────────────────────────────────────┐
│ ユーザーの責任 │
│ 「クラウドの中のセキュリティ」 │
│ │
│ ・アプリケーション │
│ ・データの暗号化 │
│ ・IAM(アクセス管理) │
│ ・OS のパッチ適用(EC2の場合) │
│ ・ネットワーク設定(SG, NACL) │
├──────────────────────────────────────┤
│ AWSの責任 │
│ 「クラウドのセキュリティ」 │
│ │
│ ・物理的なデータセンター │
│ ・ハードウェア │
│ ・ネットワークインフラ │
│ ・仮想化基盤 │
│ ・マネージドサービスのインフラ │
└──────────────────────────────────────┘
まとめ
| ポイント | 内容 |
|---|---|
| サービスカテゴリ | コンピュート、ストレージ、DB、ネットワーク、セキュリティ、管理 |
| リージョン | 地理的に離れたデータセンター群。日本は東京・大阪 |
| AZ | リージョン内の独立したデータセンター群。冗長化の単位 |
| 共有責任モデル | AWS はインフラ、ユーザーはアプリ・データ・アクセス管理を担当 |
チェックリスト
- AWS の主要サービスカテゴリを把握した
- リージョンとAZの違いを説明できる
- マルチAZ構成の意義を理 解した
- 共有責任モデルを理解した
- AWS CLI の基本的な使い方を知った
次のステップへ
次のセクションでは、AWS の最も基本的なコンピューティングサービスである EC2 について学びます。 仮想サーバーの概念と、インスタンスタイプの選び方を理解しましょう。
推定読了時間: 30分