LESSON 30分

AWSの全体像とリージョン

ストーリー

「クラウドの基本はわかったな。じゃあ次は AWS の全体像を見ていこう」

山田先輩が AWS のコンソール画面を開きながら言う。

「AWS には 200 以上のサービスがあるが、全部覚える必要はない。 まずはコア サービスを押さえれば、8割の案件には対応できる」

「200 以上もあるんですか......。どこから手をつければいいんでしょう?」

「大丈夫。カテゴリごとに整理すれば見えてくる。 それと、リージョンとAZの概念を理解しておくことが大事だ。 インフラの信頼性に直結するからな」


AWSのサービスカテゴリ

AWS の主要サービスをカテゴリ別に整理します。

コアサービスの全体像

┌──────────────────────────────────────────────────┐
│                    AWS Cloud                      │
│                                                    │
│  ┌──────────┐  ┌──────────┐  ┌──────────┐        │
│  │コンピュート │  │ストレージ  │  │データベース│        │
│  │  EC2      │  │  S3      │  │  RDS     │        │
│  │  Lambda   │  │  EBS     │  │  DynamoDB│        │
│  │  ECS/EKS  │  │  EFS     │  │  Aurora  │        │
│  └──────────┘  └──────────┘  └──────────┘        │
│                                                    │
│  ┌──────────┐  ┌──────────┐  ┌──────────┐        │
│  │ネットワーク│  │セキュリティ│  │  管理     │        │
│  │  VPC     │  │  IAM     │  │CloudWatch│        │
│  │  ELB     │  │  KMS     │  │CloudTrail│        │
│  │  Route53 │  │  WAF     │  │  Config  │        │
│  └──────────┘  └──────────┘  └──────────┘        │
└──────────────────────────────────────────────────┘

主要サービス一覧

カテゴリサービス説明
コンピュートEC2仮想サーバー
コンピュートLambdaサーバーレス関数
コンピュートECS/EKSコンテナオーケストレーション
ストレージS3オブジェクトストレージ
ストレージEBSブロックストレージ(EC2用)
データベースRDSリレーショナルDB(MySQL, PostgreSQL等)
データベースDynamoDBNoSQLデータベース
ネットワークVPC仮想プライベートネットワーク
ネットワークELBロードバランサー
ネットワークRoute 53DNSサービス
セキュリティIAMアクセス管理
管理CloudWatch監視・ログ
管理CloudFormationIaC(Infrastructure as Code)

リージョンとアベイラビリティゾーン

リージョン(Region)

AWS のデータセンターが設置されている地理的な場所です。各リージョンは独立して運用されています。

世界のAWSリージョン(主要なもの)

北米                    欧州                  アジア太平洋
├─ us-east-1 (バージニア)  ├─ eu-west-1 (アイルランド) ├─ ap-northeast-1 (東京)
├─ us-west-2 (オレゴン)    ├─ eu-central-1 (フランクフルト)├─ ap-northeast-3 (大阪)
└─ ca-central-1 (カナダ)   └─ eu-west-2 (ロンドン)     ├─ ap-southeast-1 (シンガポール)
                                                   └─ ap-south-1 (ムンバイ)

リージョン選択の基準

基準説明
レイテンシユーザーに近いリージョンを選ぶ(日本のユーザー → 東京リージョン)
コンプライアンスデータの保管場所に関する法規制(日本の個人情報は国内に保管等)
サービス可用性一部サービスは特定リージョンでのみ提供
料金リージョンによって料金が異なる(東京は米国より若干高い)

アベイラビリティゾーン(AZ)

各リージョン内に複数の独立したデータセンター群があり、これをAZと呼びます。

東京リージョン (ap-northeast-1)
┌──────────────────────────────────────────┐
│                                            │
│  ┌──────────┐  ┌──────────┐  ┌──────────┐│
│  │   AZ-a    │  │   AZ-c    │  │   AZ-d    ││
│  │           │  │           │  │           ││
│  │ [DC群]    │  │ [DC群]    │  │ [DC群]    ││
│  │           │  │           │  │           ││
│  └─────┬────┘  └─────┬────┘  └─────┬────┘│
│        │              │              │      │
│        └──── 高速専用回線 ────────────┘      │
│                                            │
└──────────────────────────────────────────┘

各AZは:
- 物理的に離れた場所にある(自然災害対策)
- 独立した電源・冷却・ネットワーク
- AZ間は低レイテンシの専用回線で接続

マルチAZ構成の重要性

本番環境では、複数の AZ にリソースを配置して可用性を高めます。

┌─── AZ-a ────┐     ┌─── AZ-c ────┐
│              │     │              │
│  [EC2]       │     │  [EC2]       │
│  [RDS Primary]│     │  [RDS Standby]│
│              │     │              │
└──────────────┘     └──────────────┘
        ↑                    ↑
        └────── ELB ─────────┘
               (ロードバランサー)

1つの AZ で障害が発生しても、別の AZ でサービスを継続できます。


AWS CLI の基本

AWS のリソースはコンソール(GUI)でも操作できますが、CLI を使うと自動化しやすくなります。

インストール確認

bash
# バージョン確認
aws --version

# 認証設定
aws configure
# AWS Access Key ID: [アクセスキーを入力]
# AWS Secret Access Key: [シークレットキーを入力]
# Default region name: ap-northeast-1
# Default output format: json

基本的な使い方

bash
# 利用可能なリージョン一覧
aws ec2 describe-regions --output table

# 現在のアカウント情報
aws sts get-caller-identity

# S3バケット一覧
aws s3 ls

共有責任モデル

AWS とユーザーでセキュリティの責任範囲が分かれています。

┌──────────────────────────────────────┐
│         ユーザーの責任                  │
│  「クラウドの中のセキュリティ」          │
│                                      │
│  ・アプリケーション                     │
│  ・データの暗号化                       │
│  ・IAM(アクセス管理)                  │
│  ・OS のパッチ適用(EC2の場合)          │
│  ・ネットワーク設定(SG, NACL)         │
├──────────────────────────────────────┤
│         AWSの責任                      │
│  「クラウドのセキュリティ」              │
│                                      │
│  ・物理的なデータセンター               │
│  ・ハードウェア                        │
│  ・ネットワークインフラ                  │
│  ・仮想化基盤                          │
│  ・マネージドサービスのインフラ           │
└──────────────────────────────────────┘

まとめ

ポイント内容
サービスカテゴリコンピュート、ストレージ、DB、ネットワーク、セキュリティ、管理
リージョン地理的に離れたデータセンター群。日本は東京・大阪
AZリージョン内の独立したデータセンター群。冗長化の単位
共有責任モデルAWS はインフラ、ユーザーはアプリ・データ・アクセス管理を担当

チェックリスト

  • AWS の主要サービスカテゴリを把握した
  • リージョンとAZの違いを説明できる
  • マルチAZ構成の意義を理解した
  • 共有責任モデルを理解した
  • AWS CLI の基本的な使い方を知った

次のステップへ

次のセクションでは、AWS の最も基本的なコンピューティングサービスである EC2 について学びます。 仮想サーバーの概念と、インスタンスタイプの選び方を理解しましょう。


推定読了時間: 30分