LESSON 15分

クラウドコンピューティングとは

ストーリー

ある朝、あなたのチームに新しい案件の話が舞い込んだ。

クラウドアーキテクトの山田先輩が、ホワイトボードの前で説明を始める。

「新しいクライアントの中村製作所さんから相談が来た。 自社のオンプレミスサーバーが老朽化していて、クラウドへの移行を検討しているそうだ」

「クラウド移行......ですか。具体的にはどんな課題があるんですか?」

山田先輩は頷いた。

「ハードウェアの保守費用が年々増加していること、繁忙期にサーバーが耐えられないこと、 そしてBCP(事業継続計画)対策が不十分なことだ。 今月のミッションは、クラウドの基礎から学んで、移行計画を提案することだ。 まずはクラウドの基本概念から押さえていこう」


クラウドコンピューティングの定義

クラウドコンピューティングとは、インターネット経由でコンピューティングリソース(サーバー、ストレージ、データベース、ネットワークなど)をオンデマンドで利用するサービスモデルです。

オンプレミスとクラウドの違い

オンプレミス                          クラウド
┌──────────────────┐          ┌──────────────────┐
│  自社データセンター  │          │  クラウドプロバイダ  │
│                    │          │                    │
│  [サーバー]         │          │  [仮想サーバー]      │
│  [ストレージ]       │    →     │  [オブジェクトストレージ]│
│  [ネットワーク機器]  │          │  [仮想ネットワーク]   │
│  [冷却設備]         │          │  [マネージドDB]      │
│                    │          │                    │
│  自社で購入・保守    │          │  利用した分だけ課金   │
└──────────────────┘          └──────────────────┘
項目オンプレミスクラウド
初期費用大(サーバー購入)小(利用開始は無料枠あり)
運用コスト固定費(保守・電気代)従量課金(使った分だけ)
スケーリング手動(数週間〜数ヶ月)自動(数分)
可用性自社で冗長化が必要マネージドで高可用性
セキュリティ自社責任共有責任モデル

クラウドの3つのサービスモデル

IaaS(Infrastructure as a Service)

インフラストラクチャを提供するサービスです。仮想マシン、ネットワーク、ストレージを自由に構成できます。

  • : AWS EC2、Google Compute Engine、Azure Virtual Machines
  • 管理範囲: OS以上はユーザー管理

PaaS(Platform as a Service)

アプリケーション実行環境を提供するサービスです。OS やミドルウェアの管理が不要です。

  • : AWS Elastic Beanstalk、Google App Engine、Azure App Service
  • 管理範囲: アプリケーションコードのみユーザー管理

SaaS(Software as a Service)

ソフトウェアそのものをサービスとして提供します。

  • : Gmail、Slack、Salesforce
  • 管理範囲: 設定のみユーザー管理
ユーザーの管理範囲

オンプレ   IaaS     PaaS     SaaS
┌─────┐  ┌─────┐  ┌─────┐  ┌─────┐
│アプリ │  │アプリ │  │アプリ │  │     │
│ミドル │  │ミドル │  │     │  │     │
│  OS  │  │  OS  │  │     │  │ 全て │
│仮想化 │  │     │  │     │  │プロバ│
│サーバー│  │     │  │ 全て │  │イダが│
│ストレジ│  │ 全て │  │プロバ│  │ 管理 │
│ネット │  │プロバ│  │イダが│  │     │
│施設  │  │イダが│  │ 管理 │  │     │
│     │  │ 管理 │  │     │  │     │
└─────┘  └─────┘  └─────┘  └─────┘

クラウドの5つのメリット

1. コスト最適化

初期投資なしで始められ、使った分だけ支払います(従量課金)。

2. 弾力性(Elasticity)

需要に応じてリソースを自動的に拡張・縮小できます。

3. 俊敏性(Agility)

数分でサーバーを構築でき、ビジネスのスピードを加速します。

4. 高可用性(High Availability)

複数のデータセンター(AZ)にまたがる冗長構成が容易です。

5. グローバル展開

世界中のリージョンからサービスを提供できます。


主要なクラウドプロバイダ

プロバイダシェア特徴
AWS(Amazon Web Services)約31%最も多くのサービス、豊富なドキュメント
Microsoft Azure約25%エンタープライズ向け、Microsoft製品との統合
Google Cloud Platform約11%データ分析・AI/MLに強み

今月はまず AWS を中心に学び、後半でマルチクラウドの視点を広げていきます。


まとめ

ポイント内容
クラウドとはインターネット経由でITリソースをオンデマンドで利用するモデル
サービスモデルIaaS / PaaS / SaaS の3種類
メリットコスト最適化、弾力性、俊敏性、高可用性、グローバル展開
主要プロバイダAWS、Azure、GCP が3大クラウド

チェックリスト

  • クラウドとオンプレミスの違いを説明できる
  • IaaS / PaaS / SaaS の違いを理解した
  • クラウドの主要なメリットを5つ挙げられる

次のステップへ

次のセクションでは、今月のメインテーマである AWS の全体像を学びます。 200以上あるサービスの中から、まず押さえるべき基本サービスとリージョンの概念を理解しましょう。


推定読了時間: 15分