LESSON 30分

作業時間の見積もり方

ストーリー

上司「この作業、どれくらいかかりそう?」

「えーと...2時間くらいですかね」

先輩「(後で)実際は5時間かかったね。見積もりって難しいよね」

「全然合ってなかった...どうすれば正確に見積もれるんですか?」

先輩「コツがあるんだ。教えるね」


なぜ見積もりが大切なのか

見積もりの役割

役割説明
計画の基礎いつまでに何ができるかがわかる
約束の根拠「いつまでにできます」と言える
リスク発見時間が足りない場合に早期に気づける
信頼の構築正確な見積もりは信頼につながる

見積もりが外れる理由

よくある原因

原因説明
作業の全体像が見えていない隠れた作業を見落とす
楽観的すぎる「うまくいけばこれくらい」で見積もる
割り込みを考慮しない会議や質問で中断される時間
初めての作業経験がないと予測が難しい
依存関係の見落とし他の人の作業待ちが発生する

先輩「人間は本能的に楽観的に見積もるんだ。これを『計画の誤謬(ごびゅう)』って言うんだよ」


3点見積もり法

楽観・悲観・現実的の3パターン

1つの作業に対して、3つの見積もりを出します。

見積もり説明考え方
楽観的すべてうまくいった場合最短でどれくらい?
悲観的問題が起きた場合最悪どれくらい?
現実的最も可能性が高い場合普通にやったらどれくらい?

計算式

期待値 = (楽観 + 現実的 × 4 + 悲観) ÷ 6

具体例

タスク: 「お知らせ一覧ページの実装」

見積もり時間理由
楽観的2時間APIがすぐ使えて、デザインも単純な場合
現実的4時間通常通り進む場合
悲観的8時間APIの仕様不明点が多い、デザイン調整が必要な場合
期待値 = (2 + 4 × 4 + 8) ÷ 6 = 26 ÷ 6 ≒ 4.3時間

報告する見積もり: 約4.5時間(切り上げ)


作業分解(WBS)

大きなタスクは分解する

大きなタスクをそのまま見積もると精度が落ちます。 小さく分解してから、それぞれを見積もりましょう。

WBS(Work Breakdown Structure)とは

作業を細かい単位に分解する手法

例: 「お知らせ一覧ページの実装」を分解

お知らせ一覧ページの実装(合計: 4.5時間)
├── API仕様の確認(0.5時間)
├── HTMLの作成(1時間)
├── CSSのスタイリング(1時間)
├── APIとの接続(1時間)
├── テスト(0.5時間)
└── レビュー対応(0.5時間)

分解のコツ

ルール説明
最小単位は30分〜2時間これ以上大きいと精度が落ちる
動詞で書く「〜する」の形にすると具体的になる
見落としやすい作業を含める確認、レビュー、修正の時間も忘れずに

バッファの重要性

バッファとは

バッファ = 予想外の事態に備える時間の余裕

なぜバッファが必要か

見積もり通りに進まない理由:
├── 会議や割り込み作業が入る
├── 仕様の確認に時間がかかる
├── 予想外のバグが見つかる
├── 体調不良や集中力低下
└── ツールのトラブル

バッファの目安

状況バッファ率
経験のある作業+20%4時間 → 4.8時間 → 5時間
初めての作業+50%4時間 → 6時間 → 6時間
不確定要素が多い+100%4時間 → 8時間 → 8時間

先輩「見積もりには必ずバッファを入れよう。予定通りに終わったら、次のタスクに着手すればいいだけだから」


見積もりの伝え方

上司への報告テンプレート

【タスク名】お知らせ一覧ページの実装

【見積もり】約5時間(バッファ含む)

【内訳】
- API仕様の確認: 0.5時間
- HTML作成: 1時間
- CSSスタイリング: 1時間
- API接続: 1時間
- テスト: 0.5時間
- レビュー対応: 0.5時間
- バッファ: 0.5時間

【前提条件】
- 先輩のAPIが予定通り完成すること
- デザインデータが確定していること

【リスク】
- APIの仕様が不明確な場合、追加で1〜2時間かかる可能性あり

良い伝え方のポイント

ポイント説明
内訳を示す「5時間」だけでなく、何にどれくらいか示す
前提条件を明記見積もりの根拠となる前提を伝える
リスクを伝える遅れる可能性がある要因を事前に共有
幅を持たせる「3〜5時間」のように範囲で伝えるのもOK

見積もり精度を上げるコツ

経験を記録する

やること効果
見積もりと実績を記録する自分の傾向がわかる
差分を分析するなぜずれたか理解できる
次回に反映する精度が徐々に上がる
記録の例:

タスク: お知らせ一覧ページの実装
見積もり: 5時間
実績:    6.5時間
差分:    +1.5時間
原因:    API仕様の確認に予想以上に時間がかかった
次回:    API連携タスクのバッファを多めにとる

まとめ

ポイント内容
見積もりが大切な理由計画の基礎、信頼の構築
3点見積もり法楽観・悲観・現実的の3パターンで算出
作業分解大きなタスクは30分〜2時間単位に分解
バッファ経験ある作業+20%、初回+50%が目安
精度向上見積もりと実績を記録して振り返る

チェックリスト

  • 3点見積もり法で見積もりを計算できる
  • タスクを小さい単位に分解できる
  • バッファの必要性と目安を理解した
  • 上司に見積もりを報告するフォーマットを知った

次のステップへ

作業時間の見積もり方がわかりました。次のセクションでは、Step 2で学んだ内容のチェックポイントに挑戦しましょう。


推定読了時間: 30分