サブネットとプライベートIP
ストーリー
「先輩、ネットワーク部とホスト部の境界はどうやって決まるんですか?」
「それを決めるのがサブネットマスクだよ」
「サブネットマスク...聞いたことはあります」
「あとプライベートIPっていう特別な範囲もあるんだ。実はよく使ってるよ」
サブネットマスクとは
一言で言うと
IPアドレスのネットワーク部とホスト部の境界を示す値
仕組み
IPアドレス: 192.168.1.100
サブネットマスク: 255.255.255.0
├─────────┤ ├┤
ネットワーク ホスト
サブネットマスクの「255」の部分がネットワーク部、「0」の部分がホスト部です。
2進数で見ると
サブネットマスク: 255.255.255.0
2進数: 11111111.11111111.11111111.00000000
├────── 1の部分 ──────┤├ 0の部分 ┤
ネットワーク部(24ビット) ホスト部(8ビット)
- 1が続く部分 = ネットワーク部
- 0が続く部分 = ホスト部
CIDR表記
サブネットマスクをスラッシュと数字で表す書き方を CIDR(サイダー)表記 と言います。
192.168.1.0/24
└── ネットワーク部が24ビット
よく使うCIDR
| CIDR | サブネットマスク | ホスト数 | 用途 |
|---|---|---|---|
| /8 | 255.0.0.0 | 約1670万 | 大規模ネットワーク |
| /16 | 255.255.0.0 | 約65,000 | 中規模ネットワーク |
| /24 | 255.255.255.0 | 254 | 小規模ネットワーク(家庭・小規模オフィス) |
| /32 | 255.255.255.255 | 1 | 特定のホスト1台 |
なぜ/24で254台なのか
ホスト部 = 8ビット = 256通り(0〜255)
- 0: ネットワークアドレス(使用不可)
- 255: ブロードキャストアドレス(使用不可)
= 254台が使用可能
サブネットの役割
なぜサブネットに分けるのか
大きなネットワークを小さく分割して、管理しやすくします。
分割前:
[全社員1000台が1つのネットワーク] ← 管理が大変、通信が混雑
分割後:
[営業部 /24] ← 254台まで
[開発部 /24] ← 254台まで
[総務部 /24] ← 254台まで
[経理部 /24] ← 254台まで
部署ごとにサブネットを分けることで:
- 通信が分離される(混雑軽減)
- セキュリティを部署単位で管理できる
- トラブルの影響範囲を限定できる
プライベートIPアドレス
インターネット上では使えない、LAN内専用 のIPアドレス範囲です。
プライベートIPの3つの範囲
| クラス | 範囲 | CIDR | 用途 |
|---|---|---|---|
| クラスA | 10.0.0.0 〜 10.255.255.255 | 10.0.0.0/8 | 大企業、クラウド(AWS VPCなど) |
| クラスB | 172.16.0.0 〜 172.31.255.255 | 172.16.0.0/12 | 中規模企業 |
| クラスC | 192.168.0.0 〜 192.168.255.255 | 192.168.0.0/16 | 家庭、小規模オフィス |
家庭でよく見るIPアドレス
ルーター: 192.168.1.1 または 192.168.0.1
PC: 192.168.1.10
スマホ: 192.168.1.11
192.168.x.x で始まるアドレスは、すべてプライベートIPアドレスです。
NAT(Network Address Translation)
プライベートIPだけではインターネットに接続できません。そこで NAT が登場します。
NATの仕組み
[PC: 192.168.1.10] ──リクエスト──> [ルーター] ──変換──> [インターネット]
プライベートIP NAT変換 グローバルIP: 203.0.113.1
- PCがプライベートIP(192.168.1.10)でリクエストを送る
- ルーターがグローバルIP(203.0.113.1)に変換してインターネットに送る
- レスポンスが返ってきたら、ルーターがプライベートIPに戻してPCに届ける
マンションの例え
部屋番号(101号室、102号室)→ プライベートIP
マンションの住所 → グローバルIP
外部からの荷物は「マンションの住所」宛てに届き、
管理人(ルーター)が「101号室」に届ける
NATのメリット
- 1つのグローバルIPを複数の機器で共有できる
- IPv4アドレスの枯渇対策になる
- LAN内の機器を外部から直接アクセスされにくい(セキュリティ)
まとめ
| ポイント | 内容 |
|---|---|
| サブネットマスク | ネットワーク部とホスト部の境界を決める |
| CIDR表記 | /24 のようにビット数で表記(/24 = 254台) |
| プライベートIP | LAN内専用のアドレス(192.168.x.x など) |
| NAT | プライベートIPとグローバルIPを変換する仕組み |
チェックリスト
- サブネットマスクの役割を理解した
- CIDR表記(/24 など)の意味が分かる
- プライベートIPの3つの範囲を知っている
- NATの仕組みを説明できる
次のステップへ
サブネットとプライベートIPが理解できましたね。
次のセクションでは、IPv4の後継である IPv6 について学びます。なぜ新しいアドレス体系が必要なのか、見ていきましょう。
推定読了時間: 30分