総合演習:推薦システム構築レポート
「いよいよ総仕上げだ。ECサイトのパーソナライズ推薦導入を経営会議で提案するレポートを作ってくれ。」
田中VPoEが最終課題を提示する。
「アルゴリズムの選定根拠からAIエージェントの提案、評価計画まで一貫した戦略として提案するんだ。」
ミッション概要
NetShop社の経営会議に提出する「パーソナライズ推薦システム導入レポート」を作成する。
Mission 1: エグゼクティブサマリー(20分)
以下を含む1ページサマリーを作成せよ。
- 課題: 現行の人気ランキングベース推薦の限界
- アプローチ: ハイブリッド推薦システムの構築
- 期待効果: CTR/CVR改善と売上増加の試算
- 投資対効果: ROIと回収期間
解答例
=== エグゼクティブサマリー ===
■ 課題
現行の人気ランキング推薦: CTR 3%、CVR 1.2%
全ユーザーに同じ推薦 → パーソナライズ不足で機会損失
推定: 月間800万円の売上向上余地
■ アプローチ
LightFM + Two-Towerのハイブリッド推薦システム
データ: MovieLens/H&Mデータで検証、NDCG@10=0.18(ランキング比+120%)
■ 期待効果
- CTR: 3% → 5%(+67%)
- CVR: 1.2% → 1.8%(+50%)
- 月間売上増: +500万円(年間6,000万円)
- 客単価向上: +8%(関連商品推薦効果)
■ 投資対効果
- 開発費: 800万円
- 年間運用費: 300万円
- ROI: 445%
- 回収期間: 2.2ヶ月
Mission 2: 技術アプローチの詳細(25分)
以下を含むテクニカルレポートを作成せよ。
- アルゴリズム比較と選定理由
- コールドスタート対策
- 特徴量エンジニアリング
- 評価結果
解答例
=== テクニカルレポート ===
■ アルゴリズム比較
| モデル | NDCG@10 | Hit Rate@10 | Coverage |
|--------|---------|-------------|----------|
| 人気ランキング | 0.08 | 0.25 | 0.05 |
| 協調フィルタリング | 0.12 | 0.35 | 0.15 |
| LightFM | 0.16 | 0.42 | 0.45 |
| Two-Tower | 0.15 | 0.40 | 0.50 |
| ハイブリッド | 0.18 | 0.48 | 0.55 |
選定: ハイブリッド(LightFMの精度 + Two-Towerの速度とカバレッジ)
■ コールドスタート対策
Phase 1: 人気+デモグラフィック(行動データなし)
Phase 2: コンテンツベース(5件未満の行動データ)
Phase 3: ハイブリッド(5件以上の行動データ)
オンボーディング: 初回登録時に5カテゴリの嗜好を質問
■ 特徴量
ユーザー: 年齢、性別、購入頻度、平均単価、カテゴリ嗜好ベクトル
アイテム: カテゴリ、価格帯、ブランド、説明文埋め込み、人気度
■ 評価
時系列分割(5ヶ月学習+1ヶ月テスト)で検証
5-Fold交差検証: NDCG@10 = 0.18 ± 0.02
Mission 3: AIエージェントと運用計画(25分)
以下を含む提案書を作成せよ。
- 対話型推薦エージェントのアーキテクチャ
- A/Bテスト計画
- 探索・活用戦略
- 導入スケジュールとリスク管理
解答例
=== 運用・エージェント提案 ===
■ AIエージェント
LangGraphベース対話型推薦エージェント
ツール: 嗜好抽出、履歴取得、推薦生成、理由生成、フィルタ、比較
ユースケース:
1. 「カジュアルな服を探して」→ 嗜好抽出→推薦+理由
2. 「もう少し安いのは?」→ 価格フィルタ→絞り込み結果
3. 「1番と3番を比較して」→ 比較表+おすすめ
■ A/Bテスト計画
仮説: CTR +15%以上
期間: 3週間、各群50,000ユーザー
成功基準: p<0.05 かつ CTR相対+10%以上
■ 探索・活用
epsilon=0.15、新規ユーザーは0.3
Thompson Samplingで不確実アイテムを優先探索
カテゴリカバレッジ > 50%を維持
■ 導入スケジュール
Phase 1(1ヶ月): モデル構築・オフライン評価
Phase 2(2ヶ月): エージェント開発・A/Bテスト
Phase 3(3ヶ月): 段階的展開(10%→50%→100%)
Phase 4(4ヶ月〜): 継続的改善・モニタリング
達成度チェック
- エグゼクティブサマリーにROIと売上試算を含めた
- モデル比較で定量的なスコアを提示した
- コールドスタート対策を含めた
- A/Bテスト計画と探索・活用戦略を策定した
- 導入スケジュールとリスク管理を含めた
推定所要時間: 90分