EXERCISE 90分

ストーリー

田中VPoE
「Month 3の総仕上げだ。ここまでコスト分析、効果測定、PoC検証、ビジネスケース作成、プレゼンテーション設計を学んできた。最終演習では、新しい業務領域を題材に、ROI評価から経営提案まで一気通貫で取り組んでもらう。」
あなた
「CS部門と請求書処理は扱ったので、新しい領域ですね。」
田中VPoE
「そうだ。NetShop社の『マーケティング部門のAI活用』を題材にする。需要予測、パーソナライゼーション、広告最適化など、売上を伸ばす方向のAI投資だ。コスト削減とは異なる効果の定量化が求められる。」

ミッション概要

項目内容
演習タイトルNetShop社 マーケティングAI導入のROI評価と経営提案
想定時間90分
成果物PoC計画 + ビジネスケース + プレゼン構成

前提条件

マーケティング部門の現状

チーム構成:
  マーケティングマネージャー: 1名
  データアナリスト: 3名
  キャンペーン担当: 5名
  コンテンツ制作: 4名

現状データ:
  月間売上: 8億円
  月間訪問者: 500万人
  コンバージョン率: 2.1%(業界平均3.5%)
  顧客単価: 7,600円
  リピート率: 28%(業界平均40%)
  広告費: 月間5,000万円(ROAS 3.2倍)
  メール開封率: 15%(業界平均22%)

AI導入候補:
  1. レコメンドエンジン(商品推薦のパーソナライズ)
  2. 需要予測AI(在庫連動のキャンペーン最適化)
  3. 広告最適化AI(入札・クリエイティブの自動最適化)
  4. メールパーソナライゼーション(配信タイミング・内容の最適化)

PoC結果(レコメンドエンジンのみ実施済み):
  A/Bテスト期間: 4週間
  対象: 訪問者の20%にAIレコメンドを表示
  結果:
    コンバージョン率: 2.1% → 2.8%(33%向上)
    顧客単価: 7,600円 → 8,900円(17%向上)
    クリック率: 3.5% → 5.2%(49%向上)

コスト見積:
  レコメンドエンジン開発: 3,000万円
  需要予測AI開発: 2,500万円
  広告最適化AI: 2,000万円
  メールパーソナライゼーション: 1,500万円
  インフラ・共通基盤: 2,000万円
  年間運用: 3,000万円

Mission 1: PoC計画と効果試算

要件

  1. 未実施の3つのAI(需要予測、広告最適化、メール)のPoC計画を作成
  2. レコメンドエンジンのPoC結果から年間効果を試算
  3. 全4つのAI導入の統合的な効果推計
解答例

レコメンドエンジンの年間効果試算

コンバージョン率向上: 2.1% → 2.8%
  月間訪問者500万 × 0.7%増 = 35,000件/月の追加注文
  35,000件 × 8,900円 × 12ヶ月 = 約37.4億円の追加売上
  粗利率30%想定 = 約11.2億円の粗利増

顧客単価向上: 7,600円 → 8,900円
  既存注文への単価上乗せ: 500万×2.1%×1,300円×12 = 約1.6億円追加粗利

合計粗利増(保守的に50%で見積もり): 約6.4億円/年

未実施PoCの計画

AIPoC期間検証方法成功基準
需要予測3週間過去データでの予測精度検証予測精度MAPE 15%以内
広告最適化4週間A/Bテスト(予算の20%)ROAS 20%改善
メールパーソナライズ3週間A/Bテスト(リストの30%)開封率30%向上

統合効果推計(保守的)

AI年間効果(粗利)
レコメンド6.4億円
需要予測1.2億円(廃棄ロス削減 + 機会損失回避)
広告最適化1.9億円(ROAS改善分)
メール0.8億円(開封率・CV率改善)
合計10.3億円

Mission 2: ビジネスケース作成

要件

  1. エグゼクティブサマリー: 1ページに凝縮
  2. 財務分析: TCO、ROI、NPV、感度分析
  3. リスク分析とシナリオ計画: 4象限シナリオ + 期待値
解答例

TCO(3年間)

項目初年度2年目3年目合計
開発11,000万--11,000万
運用3,000万3,000万3,000万9,000万
合計14,000万3,000万3,000万20,000万

ROI計算

年間純効果: 10.3億 - 0.3億(運用) = 10.0億円
(初年度は効果50%: 5.0億円)

3年間効果: 5.0億 + 10.0億 + 10.0億 = 25.0億円
3年間TCO: 2.0億円
3年ROI = (25.0 - 2.0) / 2.0 × 100% = 1,150%

投資回収期間: 約2ヶ月

4象限シナリオ(AI効果 × 市場環境)

シナリオ確率年間効果3年ROI
高効果×好市場25%15億2,100%
低効果×好市場25%5億625%
高効果×悪市場25%8億1,050%
低効果×悪市場25%2億175%

期待ROI = 988%。最悪ケースでもROI 175%。


Mission 3: プレゼン構成

要件

  1. 15分プレゼンのスライド構成(8枚以内)
  2. ストーリーライン(3幕構成)
  3. Q&A対策(CEO/CFO/COO各2問)
解答例

スライド構成

#スライドキーメッセージ時間
1提案要旨「1.1億投資で年間10億のトップライン改善」1分
2機会損失「CV率の業界平均との差は年間40億の売上差」2分
3AI4本柱「レコメンド・予測・広告・メールの統合戦略」2分
4PoC実証「レコメンドでCV率33%向上を実証済み」2分
5財務効果「ROI 1,150%、最悪175%、2ヶ月で回収」2分
6競合動向「主要EC企業は全てAIパーソナライゼーション導入済み」2分
7実行計画「段階導入、レコメンドから開始し四半期ごとに拡大」2分
8承認要請「Phase 1: 5,000万でレコメンド導入開始」2分

ストーリーライン(概要)

  • 第1幕: 「CV率2.1%。業界平均3.5%との差は、毎月7万件の取りこぼし」
  • 第2幕: 「AIが一人ひとりに最適な商品を提案。PoCで33%のCV率向上を実証」
  • 第3幕: 「AI活用で業界トップクラスのCV率を実現し、EC市場でのポジションを確立」

達成度チェック

観点達成基準
効果試算PoC結果から合理的な年間効果を推計している
売上系の定量化コスト削減ではなく売上・粗利の増加を適切に定量化
財務分析TCO、ROI、NPVが正確に計算されている
シナリオ分析最悪ケースでも投資合理性が示されている
プレゼン構成15分で論理的かつストーリー性のある構成

推定所要時間: 90分