ストーリー
田
田中VPoE
「PoCの結果が出た。次はその結果をもとに、経営層が投資判断できるビジネスケースを作成する。ビジネスケースは、AI導入の『なぜ・いくら・いつ・どれだけ』を体系的にまとめた提案書だ。」
田
田中VPoE
「企画書は『何をやりたいか』を伝えるもの。ビジネスケースは『なぜ投資すべきか』を財務的根拠とリスク分析で示すもの。経営層の投資判断に必要な情報を過不足なく含む必要がある。」
ビジネスケースの全体構成
標準構成(7章構成)
1. エグゼクティブサマリー ← 最も重要(経営層はここだけ読む場合も)
2. 現状と課題
3. 提案するソリューション
4. 財務分析(コスト・効果・ROI)
5. リスク分析
6. 実行計画
7. 推奨アクション
各章の内容
| 章 | 目的 | 含めるべき情報 | 目安ページ数 |
|---|
| エグゼクティブサマリー | 結論と全体像を1ページで | 投資額、ROI、推奨アクション | 1ページ |
| 現状と課題 | 変革の必要性を示す | 現状コスト、競合比較、放置リスク | 2-3ページ |
| ソリューション | 何をどう解決するか | AI技術の概要、PoC結果 | 3-4ページ |
| 財務分析 | 投資の合理性を示す | TCO、効果推計、ROI、回収期間 | 3-4ページ |
| リスク分析 | 意思決定の判断材料 | リスク一覧、対策、残存リスク | 2-3ページ |
| 実行計画 | 実現可能性を示す | スケジュール、体制、マイルストーン | 2-3ページ |
| 推奨アクション | 具体的な次のステップ | 承認事項、必要リソース | 1ページ |
エグゼクティブサマリーの書き方
構成要素
| 要素 | 内容 | 例 |
|---|
| 課題の要約 | 1-2文で現状課題を示す | 「請求書処理に年間3.2億円のコスト超過が発生」 |
| 提案の要約 | 1-2文で解決策を示す | 「AI-OCR導入により処理の70%を自動化」 |
| 財務ハイライト | 投資額、ROI、回収期間 | 「投資6,500万円、年間削減2.4億円、ROI 269%」 |
| 推奨アクション | 承認を求める具体的な内容 | 「パイロット開始の承認と予算6,500万円の承認」 |
NetShop社のエグゼクティブサマリー例
■ エグゼクティブサマリー
【課題】
当社の請求書処理は月間3,000件を17名が手作業で処理しており、
年間コスト4.8億円(人件費3.6億円 + 関連コスト1.2億円)が発生。
処理時間5.2日/件は業界平均の2.6倍であり、競争力の低下要因。
【提案】
AI-OCR + RPA統合による請求書処理の自動化。
PoCで金額抽出精度96.5%を確認済み。定型処理の70%を自動化。
【財務効果】
初期投資: 6,500万円(AI開発3,500万 + インフラ1,500万 + 導入支援1,500万)
年間削減: 2.4億円(人件費1.8億 + 処理コスト0.6億)
年間運用コスト: 3,000万円
純年間効果: 2.1億円
ROI: 269%(3年間)
投資回収期間: 4ヶ月
【推奨】
パイロット開始の承認と初年度予算6,500万円の承認を要請。
現状と課題の分析フレームワーク
PEST分析でマクロ環境を整理
| 要因 | AI導入に関連する変化 |
|---|
| Political | DX推進政策、AI規制の動向 |
| Economic | 人件費上昇、インフレ圧力 |
| Social | 労働力不足、働き方改革 |
| Technological | 生成AIの急速な進化、コスト低下 |
「何もしない」場合のコスト
| 年 | 現状維持コスト | 機会損失 | 合計 |
|---|
| 1年目 | 4.8億円 | 0.5億円 | 5.3億円 |
| 2年目 | 5.0億円(人件費上昇) | 1.2億円(競合との差拡大) | 6.2億円 |
| 3年目 | 5.3億円 | 2.0億円 | 7.3億円 |
まとめ
| 項目 | ポイント |
|---|
| 7章構成 | エグゼクティブサマリーから推奨アクションまで体系的に構成 |
| エグゼクティブサマリー | 1ページで課題・提案・財務・アクションを凝縮 |
| 現状分析 | 「何もしない」コストを示し、変革の緊急性を訴求 |
| データ駆動 | PoC結果を根拠に具体的な数値で語る |
チェックリスト
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次は「財務モデリング」として、ビジネスケースの核となる財務分析を詳しく学ぼう。
推定読了時間: 30分