LESSON 30分

ストーリー

田中VPoE
「To-Be設計が完了した。ここからは実装フェーズだ。NetShop社にはすでに一部でRPA(UiPath)が導入されている。新たにAIを導入する際、RPAとAIをどう組み合わせるかが鍵になる。」
あなた
「RPAとAIは別物ですよね?どう使い分ければいいのでしょう?」
田中VPoE
「RPAは『ルール通りに画面操作を自動化する』もの、AIは『データから判断・生成する』ものだ。この2つを組み合わせると、RPAだけでは対応できなかった知的業務の自動化が可能になる。」

RPAとAIの違いと使い分け

基本的な違い

比較軸RPAAI
得意なこと画面操作、データ転記、定型処理判断、分類、生成、予測
処理方式ルールベース(if-then)データ駆動(学習)
柔軟性低い(画面が変わると動かない)高い(パターンを学習)
導入コスト低〜中中〜高
対象業務構造化された定型業務非構造化データ、判断業務
メンテナンス画面変更時に修正必要モデル精度の定期監視

使い分けの判断フロー

<業務の特性は?>
├── ルールが100%明確 + 画面操作中心 → RPA単独
├── ルールが80%明確 + 一部判断あり → RPA + AI
├── 非構造化データの処理 → AI単独
└── 判断 + 画面操作の両方 → AI + RPA統合

RPA×AI統合アーキテクチャ

3つの統合パターン

パターン1: AIフロント + RPAバック

[非構造化データ] → [AI: 判断・分類・抽出] → [構造化データ] → [RPA: システム入力]

例: AI-OCRが請求書を読み取り → RPAが経理システムに入力

パターン2: RPAフロント + AIミドル + RPAバック

[RPA: データ収集] → [AI: 分析・判断] → [RPA: 結果を入力・配信]

例: RPAがCSVダウンロード → AIが異常値分析 → RPAがレポート配信

パターン3: AIオーケストレーション

[AI: 全体制御・判断]
  ├── [RPA: タスクA実行]
  ├── [API: タスクB実行]
  └── [AI: タスクC実行]

例: AIが請求書処理全体を制御し、RPAでシステム操作、AIで判断を実行

NetShop社での適用

業務統合パターンRPA担当AI担当
請求書処理AIフロント + RPAバック経理システムへのデータ入力OCR読み取り、照合判断
問い合わせ対応AIオーケストレーションZendeskチケット操作NLP理解、回答生成
レポート作成RPAフロント + AIミドル + RPAバックデータ収集、レポート配信分析、コメント生成

統合アーキテクチャの設計

システム構成図

[フロントエンド]
  ├── AIダッシュボード(処理状況の可視化)
  └── 承認画面(人間の介入ポイント)

[ミドルウェア]
  ├── AIオーケストレーター(全体制御)
  ├── APIゲートウェイ(外部システム連携)
  └── メッセージキュー(非同期処理)

[AI層]
  ├── AI-OCRサービス
  ├── NLP/分類サービス
  ├── LLM(回答生成・要約)
  └── 異常検知サービス

[RPA層]
  ├── 経理システム操作ボット
  ├── Zendesk操作ボット
  └── レポート配信ボット

[データ層]
  ├── 統合データプラットフォーム
  ├── AIモデルストレージ
  └── 処理ログDB

技術選定のポイント

要素選択肢NetShop社の選定理由
RPAUiPath / Automation Anywhere / Power AutomateUiPath(既存)既存資産の活用
AI-OCRGoogle Document AI / Azure Form Recognizer / 自社開発Google Document AIGCP基盤との親和性
LLMGPT-4 / Claude / GeminiClaude API日本語精度とコスト
オーケストレーションAirflow / Step Functions / TemporalCloud Composer(Airflow)GCP基盤との親和性
メッセージキューCloud Pub/Sub / SQS / KafkaCloud Pub/SubGCP基盤との親和性

統合時の注意点

よくある落とし穴

落とし穴原因対策
RPAとAIの処理速度の不整合AIのレスポンスが遅くRPAがタイムアウト非同期処理 + メッセージキューの導入
エラーハンドリングの不統一RPAとAIで異なるエラー処理統一的なエラーハンドリング基盤
データ形式の不整合AIの出力をRPAが解釈できない中間データ形式の標準化(JSON等)
監視の分断RPAとAIを別々に監視統合監視ダッシュボードの構築
権限管理の複雑化RPAボットとAIサービスの権限が分散統一的な認証・認可基盤

まとめ

項目ポイント
RPAとAIの違いRPAはルールベース操作、AIはデータ駆動の判断・生成
3つの統合パターンAIフロント+RPAバック、RPA+AI+RPA、AIオーケストレーション
アーキテクチャフロント/ミドル/AI層/RPA層/データ層の5層構成
注意点速度不整合、エラーハンドリング統一、監視統合が重要

チェックリスト

  • RPAとAIの使い分け基準を説明できる
  • 3つの統合パターンの特徴と適用場面を理解した
  • 統合アーキテクチャの設計ができる
  • 統合時の落とし穴と対策を把握した

次のステップへ

次は「承認フロー設計」として、自動承認と手動承認の切り替え、権限設計について学ぼう。


推定読了時間: 30分