LESSON 30分

ストーリー

田中VPoE
「プロセスマイニングでフローが見えてきたところで、次はどこがボトルネックになっているかを特定しよう。請求書処理の平均所要日数は5.2日だが、経理チームは『3日で処理できる』と言っている。このギャップの正体を突き止めるんだ。」
あなた
「5.2日と3日のギャップは大きいですね。実際の作業時間と待ち時間を分けて分析する必要がありそうです。」
田中VPoE
「その通り。ボトルネック分析には待ち時間分析、リワーク検出、バリアント分析の3つの視点がある。順番に見ていこう。」

待ち時間分析

処理時間と待ち時間の分離

業務プロセスの所要時間は「処理時間(作業している時間)」と「待ち時間(何もされていない時間)」に分解できる。

アクティビティ遷移処理時間待ち時間合計待ち時間率
請求書受領 → データ変換10分2時間2.2時間92%
データ変換 → 発注書照合15分30分45分67%
発注書照合 → 承認依頼5分10分15分67%
承認依頼 → 承認完了5分28時間28.1時間99%
承認完了 → 支払い処理3分48時間48.1時間99%

ボトルネックの可視化

請求書処理の時間構成(合計: 5.2日 = 124.8時間)

実作業時間:  ██ 2.5時間(2%)
待ち時間:    ████████████████████████████████████████ 122.3時間(98%)

待ち時間の内訳:
  承認待ち:     ████████████████████ 28時間(23%)  ← ボトルネック1
  支払いバッチ: ████████████████████████████ 48時間(39%)  ← ボトルネック2
  受領→変換:    ████ 2時間(2%)
  その他:       ████████████████████ 44.3時間(36%)

ボトルネックの根本原因

ボトルネック原因影響
承認待ち(28時間)承認者が1人(鈴木課長)に集中、出張・会議で不在がち支払い遅延 → 取引先との関係悪化
支払いバッチ(48時間)週次バッチ処理のため最大5営業日待ち早期支払い割引の機会損失
受領→変換の滞留郵送請求書のスキャン待ち、担当者の優先度判断月末に処理が集中

リワーク検出

リワーク(手戻り)はプロセスの非効率の大きな原因だ。

リワークパターンの検出

リワークパターン発生率平均追加日数主な原因
照合不一致 → 差異確認 → 再照合25%+3.0日発注情報と請求情報の不一致
承認差し戻し → 修正 → 再承認依頼8%+2.5日入力ミス、添付書類不足
支払い処理エラー → 修正 → 再処理3%+5.0日振込先情報の誤り

リワークのコスト影響

月間処理件数: 2,000件
リワーク発生率: 25%(照合不一致)+ 8%(差し戻し)+ 3%(支払いエラー)= 36%
リワーク件数: 720件/月

1件あたりの追加コスト:
  追加作業時間: 平均45分 × 時給2,500円 = 1,875円
  遅延による機会損失: 早期支払い割引2% × 平均請求額10万円 = 2,000円
  合計: 約3,875円/件

月間リワークコスト: 720件 × 3,875円 = 約279万円/月
年間リワークコスト: 約3,350万円/年

バリアント分析の深掘り

問い合わせ対応プロセスのバリアント分析

請求書処理だけでなく、問い合わせ対応プロセスもバリアント分析を行う。

バリアント経路頻度平均対応時間顧客満足度
V1: 即時解決受付→回答→完了30%8分4.5/5
V2: FAQ参照後解決受付→FAQ検索→回答→完了25%15分4.0/5
V3: エスカレーション受付→一次対応→エスカレーション→専門対応→回答→完了20%2時間3.2/5
V4: たらい回し受付→部門A→部門B→部門C→回答→完了15%1日2.0/5
V5: 未解決・再問い合わせ受付→回答→再問い合わせ→…10%3日1.5/5

パレート分析

対応時間への影響度(大きい順):
  V4: たらい回し    ████████████████████████████ 35%  ← 改善効果大
  V5: 未解決        ████████████████████████ 30%      ← 改善効果大
  V3: エスカレーション ████████████████ 20%
  V2: FAQ参照       ████████ 10%
  V1: 即時解決      ████ 5%

上位2バリアント(V4 + V5)を改善すれば、全体の65%の対応時間を削減できる可能性がある。

ボトルネック分析のフレームワーク

5つの視点で分析する

視点分析内容NetShop社での発見
時間各ステップの処理時間・待ち時間承認待ちが28時間、作業は5分
頻度リワーク・例外の発生率照合不一致が25%発生
リソース人・システムの負荷状況承認者が1人に集中
コスト各ステップの直接・間接コストリワークで年間3,350万円の損失
品質エラー率・顧客満足度たらい回しで顧客満足度が2.0/5

まとめ

項目ポイント
待ち時間分析処理時間と待ち時間を分離し、待ち時間が支配的であることを発見
リワーク検出手戻りの発生率・追加コストを定量化
バリアント分析改善効果の大きいバリアントを特定(パレート分析)
分析の5視点時間・頻度・リソース・コスト・品質

チェックリスト

  • 処理時間と待ち時間の分離ができる
  • リワークの検出とコスト算出方法を理解した
  • バリアント分析で改善対象を優先付けできる
  • ボトルネック分析の5つの視点を把握した

次のステップへ

次は「As-Isプロセスの文書化」として、BPMN図やRACIマトリクスの作成方法を学ぼう。


推定読了時間: 30分