LESSON 30分

ストーリー

田中VPoE
「業務プロセスの可視化手法を学んだね。次はその中身を定量的に分析する。具体的には業務量分析だ。」
あなた
「業務量分析とは、どの業務にどれだけの時間やリソースが使われているかを測ることですか?」
田中VPoE
「その通り。AIを導入する場所を決めるには、『どの業務に最も多くの時間が使われているか』『どこがボトルネックか』を数字で把握する必要がある。感覚ではなくデータで判断するんだ。」
あなた
「数字で示せれば、経営層への説明も説得力が増しますね。」
田中VPoE
「まさにそうだ。作業時間調査、頻度×工数マトリクス、ボトルネック特定の3つの分析手法を学ぼう。」

作業時間調査

調査方法

方法概要メリットデメリット
タイムスタディ担当者の作業を直接観察・計測正確なデータが得られる観察者のリソースが必要
セルフレポート担当者自身が作業時間を記録大規模に実施可能自己申告のバイアス
システムログ分析システム上の操作ログから算出客観的・自動的システム外作業は計測不可
サンプリング調査ランダムなタイミングで作業内容を確認低コスト精度はサンプル数に依存

NetShop社CS部の作業時間調査例

作業カテゴリ月間時間構成比担当者数1人あたり時間/月
問い合わせ対応(電話)2,400h30%25名96h
問い合わせ対応(メール)1,600h20%20名80h
問い合わせ対応(チャット)800h10%10名80h
FAQ・マニュアル更新400h5%5名80h
エスカレーション対応800h10%10名80h
データ入力・記録960h12%15名64h
レポート作成480h6%5名96h
ミーティング・研修560h7%50名11.2h
合計8,000h100%50名160h

頻度×工数マトリクス

マトリクスの考え方

業務を「発生頻度」と「1件あたりの工数」の2軸でプロットし、AI活用の優先度を判断する。

          工数(大)

    [C: 要改善]  │  [A: 最優先]
    低頻度×高工数 │  高頻度×高工数
   ───────────┼───────────→ 頻度(高)
    [D: 低優先]  │  [B: 効率化候補]
    低頻度×低工数 │  高頻度×低工数
象限特徴AI活用の方針
A: 高頻度×高工数最も時間を消費最優先でAI化を検討
B: 高頻度×低工数件数は多いが1件は軽いRPA・自動化で効率化
C: 低頻度×高工数発生は稀だが重いAI支援で工数削減
D: 低頻度×低工数影響が小さい現状維持

NetShop社CS部の頻度×工数マトリクス

業務月間件数1件あたり時間月間合計時間象限
商品問い合わせ回答12,000件10分2,000hA
注文状況確認8,000件5分667hB
返品・返金処理3,000件20分1,000hA
クレーム対応500件45分375hC
障害報告対応100件60分100hC
住所変更処理2,000件3分100hB

ボトルネック特定

ボトルネックとは

プロセス全体の処理能力を制約する最も遅い工程のこと。

ボトルネックの発見方法

指標説明計算方法
処理待ち件数未処理の作業がどれだけ溜まっているか受付件数 - 処理完了件数
平均待ち時間処理に取りかかるまでの時間受付から処理開始までの経過時間
処理能力の稼働率リソースがどの程度使われているか実稼働時間 / 利用可能時間
手戻り率やり直しが発生する割合手戻り件数 / 処理完了件数

NetShop社CS部のボトルネック分析

工程処理能力需要稼働率待ち時間判定
受付・分類500件/日450件/日90%5分注意
担当者割当400件/日450件/日112%30分ボトルネック
調査・回答350件/日350件/日100%15分注意
回答送信600件/日350件/日58%2分余裕あり

ボトルネックへのAI適用

ボトルネックAI適用案期待効果
担当者割当(稼働率112%)AIによる自動分類・ルーティング待ち時間30分→5分に短縮
調査・回答(稼働率100%)RAGによるナレッジ検索+回答ドラフト生成1件あたり処理時間を50%削減

業務量分析の実施手順

ステップ内容成果物
1. 対象範囲の決定分析対象の部門・プロセスを決定分析スコープ定義書
2. データ収集作業時間調査を実施作業時間データ
3. 分類・集計業務カテゴリごとに集計業務量一覧表
4. マトリクス分析頻度×工数マトリクスにプロットマトリクス図
5. ボトルネック特定処理能力と需要の差を分析ボトルネックレポート
6. AI適用候補の抽出分析結果からAI化候補をリスト化AI適用候補リスト

まとめ

項目ポイント
作業時間調査タイムスタディ・セルフレポート・ログ分析・サンプリングの4手法
頻度×工数マトリクス高頻度×高工数の業務を最優先でAI化検討
ボトルネック特定稼働率100%超の工程がプロセス全体を制約
定量化の重要性感覚ではなくデータでAI適用箇所を判断

チェックリスト

  • 作業時間調査の4つの方法を説明できる
  • 頻度×工数マトリクスの4象限を理解した
  • ボトルネックの発見指標を把握した
  • 業務量分析の実施手順を理解した

次のステップへ

次は「ペインポイント特定」として、ヒアリング技法、現場観察、データからの発見方法を学ぼう。


推定読了時間: 30分