LESSON 30分

ストーリー

田中VPoE
「AIレディネス評価で現在地がわかった。次はNetShop社の業務プロセスを可視化して、AI活用の機会を具体的に探っていこう。」
あなた
「業務プロセスの可視化ですか。どういう手法で行うんですか?」
田中VPoE
「代表的なものとしてBPMN、バリューストリームマッピング、SIPOCの3つがある。それぞれ目的と粒度が異なるから、使い分けが大事だ。」
あなた
「3つの手法を使い分けるんですね。」
田中VPoE
「業務プロセスが見えなければ、どこにAIを適用すべきかも見えない。まずは業務を『見える化』する技術を身につけよう。」

なぜ業務プロセスの可視化が必要か

目的説明
現状把握「今、何が行われているか」を正確に把握する
ボトルネック発見時間やコストがかかっている工程を特定
AI適用箇所の特定自動化・効率化できる工程を見つける
関係者間の合意形成共通の理解を持って議論する基盤を作る
Before/After比較AI導入前後の効果を定量的に比較する

手法1: BPMN(Business Process Model and Notation)

BPMNとは

業務プロセスをフローチャート形式で可視化する国際標準記法。

基本記号

記号名称用途
イベントプロセスの開始・終了
タスク実際の作業・活動
ゲートウェイ分岐・合流の判断ポイント
シーケンスフロータスクの実行順序
─ ─ →メッセージフロー組織間のやり取り

NetShop社の注文処理プロセス(BPMN例)

[開始] → [注文受付] → ◇在庫確認◇
                          ├─ 在庫あり → [ピッキング指示] → [梱包] → [出荷] → [配送] → [終了]
                          └─ 在庫なし → [取り寄せ発注] → [入荷待ち] → [ピッキング指示] → ...

BPMNの活用場面

場面適性
業務フロー全体の可視化非常に適している
関係部門間の連携の把握非常に適している
例外処理の記述適している
時間・コストの分析単体では不十分(他手法と併用)

手法2: バリューストリームマッピング(VSM)

VSMとは

トヨタ生産方式から発展した手法で、プロセス全体の「流れ」を可視化し、付加価値を生む活動と生まない活動(ムダ)を区別する。

VSMの構成要素

要素説明
プロセスステップ各工程の内容と所要時間
リードタイム工程間の待ち時間
付加価値時間顧客に価値を提供する作業時間
非付加価値時間待ち・移動・手戻りなどのムダ時間
情報の流れデータやドキュメントの流れ

NetShop社のCS対応プロセス(VSM例)

顧客問い合わせ → [受付・分類] → [担当者割当] → [調査] → [回答作成] → [回答送信] → [完了]
                   5分          15分(待ち)    20分     15分        5分
                   付加価値      非付加価値    付加価値  付加価値   付加価値

付加価値時間: 45分
非付加価値時間: 15分(待ち)
リードタイム合計: 60分
付加価値比率: 75%

AI適用のヒント

VSMで「非付加価値時間」が大きい工程は、AIによる自動化の候補。

非付加価値活動AI適用の可能性
担当者割当の待ち時間AIによる自動分類・ルーティング
手動での情報検索RAGによるナレッジ検索
定型的な回答作成生成AIによるドラフト作成

手法3: SIPOC

SIPOCとは

プロセスの全体像を5つの要素で簡潔に整理するフレームワーク。

要素説明
Supplier(供給者)プロセスへの入力を提供する人・組織
Input(入力)プロセスに投入されるもの
Process(プロセス)主要な処理ステップ(5-7ステップ程度)
Output(出力)プロセスから生み出されるもの
Customer(顧客)出力を受け取る人・組織

NetShop社の商品登録プロセス(SIPOC例)

SIPOC
仕入先商品情報(品名、価格、画像、仕様)1. 商品情報受領 → 2. 内容確認 → 3. 画像加工 → 4. 説明文作成 → 5. ECサイト登録 → 6. 公開確認商品ページECサイト利用者
マーケ部キャンペーン情報在庫情報物流部
EC運営部カテゴリ分類ルール検索インデックスシステム部

SIPOCの活用場面

場面適性
プロセスの概要把握非常に適している
関係者の特定非常に適している
AI活用のスコーピング適している
詳細な分析不十分(BPMNやVSMと併用)

3手法の使い分け

手法目的粒度適用タイミング
SIPOC全体像の把握粗いプロジェクト初期
BPMN詳細フローの可視化細かい分析・設計フェーズ
VSMムダの発見中程度改善ポイントの特定

推奨アプローチ

1. SIPOC で全体像を把握

2. VSM でムダを発見

3. BPMN で詳細フローを可視化

4. AI適用箇所を特定

まとめ

項目ポイント
可視化の目的業務の現状把握とAI適用箇所の特定
BPMN詳細な業務フローを標準記法で可視化
VSM付加価値/非付加価値を区別しムダを発見
SIPOC5要素でプロセスの全体像を簡潔に整理
使い分けSIPOC→VSM→BPMNの順で段階的に深掘り

チェックリスト

  • 業務プロセス可視化の目的を説明できる
  • BPMN、VSM、SIPOCの3手法の特徴を理解した
  • 3手法の使い分けができる
  • VSMで非付加価値活動を発見する方法を理解した

次のステップへ

次は「業務量分析」として、作業時間調査、頻度×工数マトリクス、ボトルネック特定の方法を学ぼう。


推定読了時間: 30分